波瀾は彼女と共に 08
「ところで、白石さん、は奏ちゃんとどういう関係で?」
相変わらず睨み合いが続く梢の口が動く。どう話題を逸らそうか迷っていた奏には正に救いの一手、ここぞとばかりに身を乗り出し、眉間の皺を笑顔に変えて話し出した。
「真琴先輩は、私が所属するクラブチームのキャプテン兼オーナーなんです」
まるで自分の事のようにポロポロと言葉を紡ぐ奏に対し、背を預け、残りの炭酸を飲み干す真琴。いつの間にか、梢との対立構成は消えてなくなり、和やかな雰囲気になりつつある中で今度は昌也が動き出した。
「奏のチームは女子硬式野球のクラブチームなんだぞ」
「えっ!?そうなんですか?」
驚きに目を見開いた千尋に小さく頷く昌也。無理もなかった。最近になって女子の硬式野球も注目が集まってきたが、それでも男子の圧倒的人気の影に隠れる形なのは否めない。高校、大学であれば部活としてある程度活動及び、資金が調達できるが、社会人やクラブチームとなればそうはいかない。自分たちでスポンサーを探しつつ、活動費用を集めないとやっていけない。それにはやはり人気や知名度が必要であり、現在の球界状況でいけば、やはり女子に費用を割くスポンサーはなかなか難しい。今やプロだけでなく各地で盛んになった独立リーグもあり、いくら日の目を浴び始めたとはいえ、厳しい状況ではあった。
「凄いですね……」
自分たちがやっているからこそ、競技全体の現状をある程度理解してた千尋は嘆息すると、それを見逃さず、ここぞとばかりに真琴は笑顔で千尋へと声をかけた。
「んふっ、千尋ちゃんも卒業後にうちに来てくれてもええよ?」
「へっ?えっ?えぇっ!?」
唐突にもちかけられた勧誘に慌てふためく千尋。その様子を楽しげに見ていた真琴は、しかし、次の瞬間にまた睨みを利かせた。
「あ〜、千尋は私と一緒ですから〜」
「……アンタはいらんよ、別に」
再度バチバチと火が上がり始める。しかし、ここは奏が機転を効かした。梢の問いによって話しながらも検討した中で浮かんだ疑問で真琴の意識を奏に向けた。
「ところで、先輩なんでここで働いてたんですか?」
後輩から出た当然の質問に、小さく唸り、顎を人差し指で叩きながら静かに口を動かした。
「この店のオーナーな?ウチのいとこの兄さんでな、更にいえば、ウチらのクラブチームのスポンサーなんよ」
言いながら、茶目っ気たっぷりな流し目を披露する真琴にいつもの事なのか、奏は冷静に突っ込む、どこか諦めた顔をしながら。
「先輩……そういう事は早めに言って下さいよ……」
言って立ち上がった奏は真琴を押しのけ、カウンターへ向かう。その姿に感じるところがあったのだろう、真琴が慌てて後に続く。向かう道中、何事か話しながらそれでも足を停めない奏達の姿に、ここぞとばかりにケタケタと梢の笑い声が響くのだった。
こんばんわ、作者です。
気付けば5月も後半、最近は雨模様の日も多くなり、徐々に梅雨の時期が近づくのを感じますね。
そして、億劫な事が……。
やつらが増殖する時期にもなるんです。
そう、蚊、でございます。
自分、よく刺される方なので、今年もかゆみと戦いながらの生活がこれから始まるんやな、
と思うと、なかなか。
そして、今刺されたようです、腕かゆい(笑)
もうそろそろム◯用意しないとな~、と思う私でした。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




