波瀾は彼女と共に 06
その後、ちゃんこの減量についてのらりくらりと躱され、モンモンとした気分のまま初詣を終えた昌也は不貞腐れるように聞いた。
「この後どうするんだ?」
事前に誘われた内容は初詣のみ。そのため、事を終えた昌也としてはさっさと解散し、梢から解放されたいところだったが、やはりそれを許す彼女ではなかった。
「そろそろお腹も空いたし、あそこ、いこっか」
言われて昌也はスマホを取り出す。確かに時間にして、正午過ぎであり、朝からおせちを食べながらダラダラしていた昌也とはいえ、少し腹には入れたい気分にはなっていた。しかし、
「正月早々開いてるお店なんてあるんですか?」
兄の横から顔を出しながら、奏が問いかける。それは正に昌也が確認したかった事。確かに初売り需要に伴い休み返上で商売に励む店はある。だが、そのような店は所謂物販を取り扱う店がほとんど。飲食であればチェーン展開されている店が辛うじて、だろうか。だからこそ、ド田舎であるこの地域では厳しいと思っていたのだが、
「あぁ〜、大丈夫、ちゃんと毎年やってるから」
威勢よく、声を上げながら先導し始めた梢とその様子に微笑みながら続く千尋。昌也達の訝しげな顔に動じることなく突き進む二人に、兄妹は小さくため息をつき、後に続くのだった。
徒歩にして数十分、昌也達の目の前にはモダンな建物が鎮座する。
「おい……ここって」
「そっ、スキャット」
練習帰りに毎度お世話になっているお店に昌也は呆れた顔を隠しもせず、梢に至っては当たり前の顔をしている。
あまりに対照的な二人に奏と千尋は顔を合わせ苦笑いを浮かべる中、4人は今一度スキャットを見渡す。いつも通り静かな佇まいは変わらず、しかし、外からみても店内から湧き上がるいつもと違う熱気に込み具合を感じる。
「……忙しそうだな」
敏感に察した昌也が視線を横に向ける。いつもはポッカリと空いた田舎特有の大きめな駐車場には所謂ファミリーカーと思われる乗用車がずらりと並んでいる。
ふと、その中に異様に気になる車体があった。ブルーとブラックのツートンカラーが異様に目立ち、しかし後方までスラリと伸びた排気筒が優美に光り、全体をバランスよく魅せている。素人な昌也からみても、フォルムの格好良さに思わずうなりを上げたそのバイクに、同じように視線を向けていた奏が小首を傾げる。
「気になるか?」
「えっ?あっ……と、うん、大丈夫」
言葉とは裏腹にジッと見つめる姿はとても正常とは傍目からみても言えず、昌也が追い打ちをかけようとするが
「昌くん、奏ちゃん、早く早く〜」
既に店口へと足を運んでいた梢が催促する声に閉ざれ、声をかける事が出来ず、仕方なく後に続く。
梢が先陣を切るかのようにドアを開く。開いた瞬間慣らされるチャイムと共に響いたのは女性の声、聞き馴染みのフレーズに梢が人数を指定しようとした瞬間、驚愕が店内に木霊する。
「いらっしゃいませ〜」
「せっ、先輩っ!?」
普段とは比べ物にならい奏の声量に驚く昌也達、そして、先輩と呼ばれた彼女はきょとんとした表情でしばし皆、その場に立ち尽くすのだった。
こんばんわ、作者です。
さてさて、世間ではGWウィークが始まった頃ですね。
しかし、今年も自粛要請が出て、家で過ごす方が多いでしょうか。
格悠自分も、今年も家で野球観戦やら読書やらゲームやら、
恐らく毎週末にやってる事をしながら休みを過ごしていきそうです。
さて、話変わって来週の更新についてですが、一度お休みさせて頂きたいと思います。
まぁ更新できなくはないんですが、ちょっと整理とかもしたいのでその余裕を持たせるためにも……
なので、次の更新は5月13日となる予定ですので、何卒。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




