始まる合同練習 15
最初、意識したのは光だった。チラチラとカーテン越しに反射されながら、奏の瞼を刺激する。
「……んっ、むぅ……」
次に感じたのは寒さ。覚醒しきれない脳がゆっくりと今の季節を知らせ、自然と布団奥底へと体がもぐりこむ。埋めたはずの枕から頭が離れ、光と寒さから逃れようとしながらふと気づく。
「んん……」
小さな呻き声を上げながら忙しなくまばたきを繰り返しほのかに明かり差す室内へと目を慣らす。次第に映るのは見慣れない景色、少し黄ばんだ畳と当主の趣味である色あせたポスターから奏が置かれている現状を思い出す。
「んっ、くぅ〜っ!」
肌へと突き刺さるような寒さに負けじと布団からはい出した奏はふと枕元に置かれたスマホへと視線を向ける。昨日、否、今日まで、ただただしゃべり続けた情景が脳裏から呼び起こされる。こちらに来て数日しか経ってないはずなのにとても懐かしく感じた時間に頬が緩み、完全な目覚めを実感した瞬間、質素でデジタルな文字に悲鳴を上げた。
昌也と浩一郎がそれを聞いたのは居間で埃をはたいている時だった。思わず音の方向へ首を向けると、とてつもなく慌てた足音と共にボサボサの髪で少し着崩れたパジャマ姿の奏が二人の目の前に現れた。
「ごっごめんなさいっ!!」
開口一番、奏の謝罪に昌也と浩一郎は顔を見合わせ肩をすくめる。
ただ、その顔は態度とは全く違った表情を描いてた。
「かっかっかっ!気にせんでえぇ」
「昨日はお楽しみ、だったみたいだしな」
ニヤニヤと憎らしい笑みを浮かべどこか勝ち誇る昌也、それを見た奏は気付き、顔の沸点が一気に上がっていく。
「き、聞いてたのっ!?」
「この家、壁薄いからのぉ〜」
「まぁ、女子同士仲いいに越したことはない、ってな」
祖父の全く悪気がない言葉に続ける昌也。その情景は奏の羞恥心を一発で振り切らせ、その場で顔を隠しながら鎮座する。その後、暫く大晦日の時期に話題にされるほど、この出来事は根深く3人の記憶に残るのだった。
こんばんわ、作者です。
徐々に日差しが暖かくなった頃、如何お過ごしですか。
わたしは元気です(笑)
3月って何かと忙しくなる季節ですよね。
かく言う私も私生活も仕事も徐々にペースアップしており、
ちょっと大変な時期に入ってきそうです。
ただ、こちらの更新は引き続き頑張りますので一つ。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




