始まる合同練習 14
「……ってな感じでして」
「ええやん、楽しそうで」
無機質でジンワリと寒さを感じるスマホの先からケラケラと愛着ある笑いが木霊する。夕食を終え、日課の素振りも、風呂も済ませた奏は用意された客室で一人布団へと体を沈めていた頃、それはやってきた。耳に届いた着信音は彼女が強引に設定させたもので、慌てて体を起こし、応対した奏はいつの間にか正座の姿勢をとりながら今日までの練習の成果と課題を報告していた。
「ほんで?お兄さんとはどうなん?」
「えぇっと……まぁ、はい……」
自分でも歯切れが悪い言い方だったが、彼女に隠し事は出来ないと悟っていた奏はあえて今の心情のままを伝えると、電話先からは小さな吐息が漏れた。瞬間、奏の中で顎に手をやる彼女が浮かび、頬が緩む。
「ん〜?今、ウチの事馬鹿にしとらん?」
「えっ!?イエッ!そんな事ないですっ!!」
同じように自分の呼吸が見抜かれたのか、慌てて訂正をいれた奏。どこか片言な調子が功を奏し、電話越しでも分かるくらい、彼女は声を上げて笑いを上げる。
「まぁ、ええわ。とりあえず、充実してるみたいやし、同い年君とやるのは刺激になるやろしな〜」
「はい、あっでも、それも今日で終わりで」
チラリと視界を横へと移すとそこには何処にでもあるような簡素な壁掛けカレンダーがあり、29日までの部分に×が入れられていた。
「あ〜、もう年末やしねぇ、今年も明日で終わり、やね」
「はい、なんだかあっという間、でした……」
ウンウンと頷く声を耳にしながら奏は思いを馳せる。自分が、ある意味初めて選んだ道はとても急こう配が激しい未来で、だけど、とても充実感はあった。一時期はどん底まで落ちたが、今はそこから這い上がっている感覚がある。特に兄との関係は昔のように、とまではいかないまでも普通に笑顔で話せる程度まで持ち直した事で今年を終えられる事は最大の収穫。
「……ふふっ、かなちゃんがそんなに夢中になるお兄さん、ウチもお会いしたいわ〜」
「えっ!?ちょっとキャプテンっ!?」
上の空であったのをからかうように切り込んできた彼女に奏が慌てると、またケラケラと笑いながら彼女は言った。
「いや冗談よって、そんなあわてんとっ!」
「……もう、ほんと人が悪いです」
不貞腐れた奏へ未だ絶えない微笑が続き、更に彼女たちの話は続く。大晦日前の30日、今年最後になるであろうキャプテンとの直接の会話はその後、日付をまたぎ続けられた。一人の選手同士で仲間である二人はその日、布団へと意識が落ちるまで、花が咲き続けていた。
こんばんわ、作者です。
月はもう3月、今年ももう2か月が経過してますが、みなさん如何お過ごしでしょうか。
私は元気です(一応)
さてさて、この頃になると徐々に込み上げてくることがあります。
そう、プロ野球。
オープン戦が始まり徐々に各チームの状態が見え始めてきてますね
今年もコロナの影響が否めませんが、いつも通り贔屓球団を応援したいと思いますっ!
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




