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10+1(イレブン)ナイン+1  作者: あまやすずのり
始まる合同練習
29/146

始まる合同練習 05

 元来この球場、兎志子スタジアムにはブルペンは存在しなかった。

 部員の人数も少なく、投手も一人だった事からグラウンド内のマウンドで事足りると想定していたが、


「流石に守備練時に邪魔ですわね」


 この一言で再度彼女のポケットマネーが威力を発揮した。元々近隣の土地も余っており、増築は可能であったし、昌也を迎え、ギリギリではあったが男子にも負けなかった事がよっぽど嬉しかったのだろう、存続をかけた試合からわずか半月で両ベンチの裏に簡易的な掘っ立て小屋からなるブルペンを完成させてしまった。


「……すごい、としか言いようがないね」


 その目的地へと向かう道中、兄からもたらされた情報に奏は内心呆れながら言葉を漏らしていた。


「まぁ、金持ちの道楽様々って感じだよな」


 スチール製のドアノブに手をかけながら昌也が開いた先、そこには見慣れたホームプレートが等間隔に3つ、そして、首を傾ければ対になるように並べられたマウンドプレート、そこに彼女らはいた。


「……」


 こちらを背にした二人の女性、昌也達が入ってきた事に気づくことなく、柔軟に勤しむ姿を奏は睨む。


(今度は、絶対……)


 脳裏に蘇る球の軌道に合わせるように体が動く。早い直球が内角に、自分の足元へと注がれる白い影を小さく体を揺らし合わせ、


「っと、これ使ってくれ」


 突如耳に入った昌也の声で現実に戻され、慌てて声の方へと体を向けると、それは飛んできた。突如の飛来もなんのその、最小限の動作で優しく受け止めた奏はそれを見つめた。青い塗装にゴツゴツした形は如何にも硬さを連想させる。試しに少し叩いてみると十分な強度と弾力を感じられる。所々、擦り傷がみられるものの、なかなか手入れが行き届いた一品、ただ、奏の脳裏には少々引っかかる部分もあり、だけど口に出す事なく、とりあえず体に馴染ませてみる、と


「……ぷっ」


 聞こえた空気を吹き出す音へ、抗議の意味を含めた視線を送る奏。どうやらその意味を察したのだろう、試合に登場する捕手の如く、即座に表情を消しながら手慣れた動作で同じく準備を終え、声を上げる。


「よっしっ!やるぞっ、梢、千尋っ!」


 待ってました、と言わんばかりにこちらへと振り向き近づいてくる二人。梢は鼻息荒く、対照的に千尋はどこか怯えながら昌也の前へと立つ。


「あー、とりあえず、梢は俺と、千尋は奏とやってくれ」

「おっけー」

「ハッ、ハイッ」


 勝手に話を進める兄には慣れたもので、奏は千尋の前に立つ。顔を正面に持っていき、千尋の目を見ると、彼女は少し視線をそらしながらその言葉を発した。今一番奏が気にしていた事を包み隠さず言ってくれた。


「あ、あのっ、大きく、ないですか……?」


 即座に昌也へ再度の抗議を向ける奏。それを無視するようにさっさとその場を去る昌也と梢、その横顔にはどこかあざ笑う姿を見つけた奏は小さくをため息を落し、自らを見やる。どちらかと言えばスレンダーな体型の奏、対して渡されたのはちゃんこ仕様の捕手装備一式、ここから導き出されたのは、まるで大き目な学生服を着せられたような不格好さとそれを少し恥じて頬を染める妹の姿だった。

こんばんわ、作者です。


今日はクリスマスイブ、ですが例年と変わらない、もっと言えばいつもと変わらない時を過ごしています(笑)

まぁ、ただ今年はコロナの影響もあって街よりは家が賑わう人が多いんでしょうね。

私もちょっとだけ、今日だけは、ほんのちょっと贅沢しています。

主に来週中日まで仕事が続けられる英気を養うために……(笑)


ところ変わって、来週の更新ですが、いつも通り年末年始という事もあり、1週お休みさせて頂きます。

なので、次回更新は来年1月7日となりますので、ひとつ。

それでは、よいお年を。


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

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