始まる合同練習 04
当初は戸惑いしかなかった。
急いで戻った家から予め用意しておいたボストンバックを?っ攫い、祖父の怪訝な顔を尻目に再度自転車へとまたがった私は高揚した顔を隠すことなく兄さんの元へ。
(またっ、兄さんとっ、出来るっ!)
遠い昔、まだ一緒に野球をやっていた頃のように、溢れくる思いがペダルを加速させ、あっという間にグラウンドに戻った私に兄さんはそれを投げ渡した。
「えっ……っ、と?」
私が理解に苦しむ様子を特に気にする事なく、兄は更にベンチ裏へと顔を隠しながら何かを探り、引っ張り出す。
「それ、と、これな」
「あっ、うん……」
ポンッ、か細い空気の破裂音と共に、私の手にはある一式が揃う。ミット、マスク、ヘルメット、野球をやっていれば誰もが目にする用具に私が目を白黒させていると、
「それと、防具はブルペンに置いてあるからそれを使うとして……」
「へっ?ブルペンっ!?」
私の驚きの声にどこか納得したのか、見慣れた兄さんのしたり顔が説明してくれる。
「ククッ、凄いだろ?簡易的ではあるが、普通にキャンプするには申し分ない施設だよ、ここは」
上機嫌な雰囲気そのままに身を翻し、先へと進もうとする兄さん、だが、それを私は許さなかった。否、ゆるしてはいけなかった。
「って、兄さんっ!?ちょっとちゃんと説明してっ!!」
グラウンド内に私の怒声が響く。幸いなことに先程挨拶を済ませたところなので、今ここにいるのは私と兄さんの二人のみ。だからこそ、兄さん主導の今のやり取りを止めるために私は強行した。
「なんでっ!私にっ!これらを渡したっ!?」
流石に私の大声に驚き、戸惑う兄さんの腕を掴み、更に続けた私の問いを自ら飲みこむように喉を慣らしながら思案、そしてもたらされた言葉に私は肩を落とすしかなかった。
「お前……キャッチャー無理だったっけ?」
こんばんわ、作者です。
さてさて、今年も残り半月あまり。
徐々に来年の足音が聞こえてくる時期になりましたね。
今年はいつもとは違う年末年始になりそうですが、何事もなく終われるよう、日々過ごしていきたいものです。
……うん、仕事頑張る……(笑)
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




