それは突然やってくる? 21
(……クソが、突然リードを戻しやがって)
カウント2-2となったボールを返球しながら、脳内で呟く昌也。傍若な振る舞いはいつもの事とは言え、流石に昌也の頭にも血管が浮かぶ。
だが、リードを任された以上、それに応えるのも捕手の本質。だから昌也は視線を上げながら冷静に見つめ、思考する。ゾーンをしっかり見極めて見送った妹の姿から、次の配球を組み立てる。
(真っすぐはもう合わせてくるな、そうなるとフォークか、はたまた……)
少々過大評価か、とも思ったが、先のファウルと見逃し方は堂に入っていたし、最初の1、2球時と比べると明らかにブレがない構えから並外れた集中を肌で感じる。
(……俺が関与してもいいん、だよな)
今一度、確かめるように肩パッドへと手をやるとに梢がプレートを外す。予め決めていたOKのサインに昌也は小さく息を飛ばす。本当なら盛大にため息をつきたかったところ。だが、真剣勝負の最中でそんな姿を見せる事すら許されない。だから昌也は顔を上げる。同じように集中し直した奏がボックスへと足を踏み入れるのを確認しながら、マウンドへとその眼差しを注ぐ。果たしてそこには、興奮しているのか、未だ絶えず口元に笑みを残した彼女がいた。
(……全く、困ったやつだ……)
だが、昌也は知っている。梢の今の状態が彼女の本気を表している事を。小さな亀裂から始まった彼女の苦悩、それによってもたらされた怪我は彼女から大好きな野球を奪った。その瞬間はきっと交通事故で怪我をした自分よりも深く傷付いたと思われる。だから、彼女の口から明かされた内容に昌也は共感と決意が芽生えた。こいつの心を今一度引っ張り上げるため、かつて野球を心底楽しみ、投げていたであろう姿へと戻してやるために。
(……なるほど、な)
そして、昌也は気付き、一人苦笑する。
やっと理解したこの一打席勝負の意味、それにケリをつけるために臆する事無くサインを出した。
未だふてぶてしさが絶えない相棒は小さく頷きモーションに入る。いつもと同じ景色、なのに昌也はどこか神々しくも感じながらその一球を掴むグラブを定位置へと翳した。
こんばんわ、作者です。
先日、とうとう我が贔屓球団のシーズンがほぼ終わりました。
うん、まぁ数試合残ってるからほぼなんです、消化試合が。
正直、シーズン始まった際はなかなかの好調で、おっもしや?とも思ったお仲間も多かったかと。
でもねぇ、やっぱねぇ、例年通りだったね(笑)
あまりここで長々と話をする事でもないので、この辺りで切りますが、最後に……
来年は期待してるよっ!
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




