俺の学校に愛華が!?
前回のあらすじ
西条の豆テストを妨害するためダンジョン機能を利用しコンフュージョンパウダーを召喚した祐矢。
結果西条を混乱の渦に落とすことには成功したものの、自分まで渦中に飛び込むことになり、両者0点という痛々しい引き分けを記録してしまった。
「学校に通いたい?」
「はい。やはりダンジョンにこもってるだけでは退屈ですので」
「退屈って……」
ある日、学校から帰宅すると、昼間は暇だから学校に通いたいと愛華が願い出てきた。
じゃあなんでこの世界に来たんだってことになるが、それはまだ秘密らしい。言いたくないなら言わなくてもいいが。
「すでに存在がバレてるし通いたいなら止めはしないが、学費とかはどうするつもりだ?」
「どうとは?」
「つまり金だよ。父ちゃんと母ちゃんが出してくれるとは限らないしさ」
愛華の同居を認めたとはいえ、学費まで出してくれるかどうか。父ちゃんの愛華への溺愛っプリを見れば有り得るかもしれないが……。
あ、もし俺の小遣いが減らされるなら断固として反対するぞ?
「それでしたら一つ考えがあります」
「どんな方法だ?」
「ダンジョンで召喚したアイテムをネットオークションで売ればよいのです」
愛華の思いきった作戦――それは、選別したアイテムをダンジョン機能を使って召喚し、ネットオークションに出品するというもの。
アイデアだけを見ればナイスアイデアなんだが、あまり効果が有りすぎるものを出してしまうと追及してくるやつが出てきそうだな。
以前使ったポーションは凄まじい即効性だったし、アレが世に蔓延するのは危険だと思う。
「程々に稼げそうな物はあるか?」
「モンスターをペットとして売りつけるのはどうでしょう?」
「アウト」
ポーションより危険だろ。何より魔物を世に放ったらダメやん。
他に何か――
ガチャ
「愛華居る~?」
「おや、明日香お姉様ではないですか。どうされました?」
「ちょ~っと愛華に協力してほしいことがあるんだけど~」
愛華に?
「その前にノックもしないで入ってくる行動に異義があるんだが」
「細かい男は嫌われるわよ」
逆だったら絶対怒るくせに……。
「それで、わたくしは何をすればよいのでしょう?」
「協力してくれるのね? ありがと~ぅ、心の妹よ~! もぅ頬っぺたスリスリしちゃう!」
抱きついて頬擦りしちゃってるよ。
こんなスキンシップは今日香にすらやってないと思うんだが……。まぁ、それだけ愛華が可愛いってことか?
「で、愛華に何をさせるって?」
「実はね、ウチのブログに愛華の写メを載せようと思ってるのよ」
「「ブログに(ですか)?」」
そういや明日香姉ちゃんブログやってたんだっけか? 前見たときは半年くらい更新されてなかったけど。
「わたくしとしては異論はありませんので、祐矢さん次第ですね」
「俺も異論はないけど、載せてどうすんの? 全然更新してないだろ?」
「最近まではね。でもサークル仲間でカワイイものを載せるのが流行りだしたのよ。それでウチも何か載せたいな~なんて思ってて、思い付いたのが愛華なの」
確かに愛華は可愛いが、それだけにボロが出ないように注意しなきゃな。一応は従妹ってことに――あ、でも高校に通うなら俺と同い年の設定にする必要があるな。うん、そこは徹底しとこう。
「載せるのはいいよ。但し年齢は俺と同じってことにしといてくれ。本人の希望で高校に通うことにしたからさ」
「愛華ってば学校に行くの!? じゃあ入学祝しなきゃね! あ、その前に記念写真を撮らなきゃ!」
「落ち着けっての……」
先走ろうとする明日香姉ちゃんを何とか押し留める。俺の目の前で愛華を脱がそうとしてるし目が血走って呼吸も荒かったし。
ってかその手に持ってる衣装はどっから出したんだ? そんでもってエクステまで用意してるし、危うく初音〇クにされるとこだった。
あ、そうだ。ついでだし姉ちゃんに相談してみよう。
「実は今その事で話し合ってたんだよ。学費をどうしようかってね」
「学費ね~。ウチと妹の分は実家で持ってるから大丈夫だけど、愛華の場合そうはいかないわよね~」
「わたくしとしては魔物をペットとして売り捌くのを推奨しますが」
「「それはダメ(よ)」」
侵略するのが目的なら何気に素晴らしいアイデアと言えるんだけどな。勿論侵略されたらたまらんが。
「俺としては出回っても問題ないアイテムを出品するのがいいと思ってるんだ。ただそのアイテムの選別が上手くいかなくて……」
「そうね~ぇ。何か売る物は――」
ま、簡単に思い付くなら苦労しないよな。
「あ、そういえば愛華が来てる服って異世界のものなの?」
「いえ、この世界の標準服です。ですが今でしたらDPが豊富にあるので、異世界の服を召喚することも出来ます」
「それ、見てみたいわ! ねぇ、祐君も見たいでしょ!?」
気にはなるけど、目を輝かせてまで見たいわけじゃないしなぁ。どうせ召喚するならもっと別な――いや、待てよ? ひょっとするとこれ、イケるんじゃね?
明日香姉ちゃんの用意したエクステなんかも有ることだし……
「明日香姉ちゃんの言う通りだ。試しに幾つか召喚してくれ」
「畏まりました」
「さっすが祐君、分かってる~ぅ!」
といっても、決して明日香姉ちゃんに触発されたわけじゃない。むしろ学費を稼ぐのに最適な方法を思い付いたんだ。
「――召喚完了。村人に一般兵、冒険者から貴族まで、いろいろと召喚してみました」
「「…………」」
俺達の目の前には大量の衣類が山積みにされている。
俺は確か幾つかと言ったはずなんだがな。何故それを無視してしまったのか……。
「男性用に女性用、子供用から老人用をSサイズから3Lサイズまで幅広くチョイスしてみました」
もうその時点で幾つかとは言えない。
出来れば返品をお願いしたいが多分無理だろう。なんかDPに余裕ができてから使い方が荒くないか?
「とりあえず男性用はいらない。どこかにしまっといてくれ」
「畏まりました。コアルームで補完しときます」
「それから子供用と老人用もな」
まずはいらない服を片付けた。何せ愛華が着るんだから、女性用以外は必要ない。
「よっし。そんじゃ今から愛華による異世界ファッションショーを始めたいと思う」
「はい?」
「ヒューヒュー♪ ナイスな企画よ祐君!」
愛華は要領得ないって顔をしてるな。
だが愛華はただ着るだけでいい。そして証拠の画像として撮影すれば、俺の目的は達成される。
「さぁ愛華、早く着替えてくれ」
「……ここでですか?」
「おぅ!」
「畏まりました。命令とあれば仕方ありませんね」
ん? なんで仕方ないんだ? などと思ってたら、すぐに理由が判明した。
「ちょ、愛華!?」
あろうことか、俺の目の前で突然服を脱ぎだしたんだ!
いや、間違いなく俺が言ったからなんだが、そういうつもりはこれっぽっちもない。いや、ホントマジで!
「少々恥ずかしいのですが、祐矢さんが見たいのであれば――」
「た、た、確かに見たい。見たいが、今はそれどころじゃ――」
あーーーマズイ、マズイって!
シャツの隙間から見えてはいけないものが見えそうに――と思いつつ指の隙間から……
バチン!
「いっでぇぇぇぇぇぇっ!」
「ほら祐君、早く後ろ向いて!」
「……うぃ」
思いっきり明日香姉ちゃんにブタれた。
俺は赤くなった頬を擦りつつ後ろを向く。
くっ、隣では姉ちゃんが鼻息を荒くして愛華を凝視してるだけに非っ常に羨ましい。
俺だってあと少しで――ってイカンイカン、余計なことは考えないようにしよう。
「もういいわよ」
ようやく明日香姉ちゃんの許可が下りたんで愛華を見てみる。
着てる服は地味な赤系のワンピースで、白い前掛けが作業着っぽさ感じさせている。
「うん、西洋風の田舎娘だな。次!」
今度はレザーアーマーという動物の革で作られた鎧だ。
男性用との違いは胸元の部分にあり、そこだけは伸縮性を持たせてるな。
「ちょっと剣を振るように動いてくれないか? あ、いっその事、安物の剣を召喚してくれ」
「畏まりました」
お、運動神経がいいのか動きがそれっぽく見える。
無表情なのが逆に凛々しさをアピールしてるかのようだ。
「凄いわ愛華~! 脇が見えるポーズなんてもう最っ高~! この調子でドンドン行ってみよ~ぅ!」
明日香姉ちゃんもご満悦でなによりだ。
「じゃあ次だ。次は――お!?」
今度は軽装だ。うん、軽装なんだが、動きやすさを優先してるためか露出箇所が多いように見える。
特に下は際どいミニスカだけど、これって激しく動いたら見える……よな? これはあれか? ミニスカで相手を油断させる効果もあるってやつか? よし、これは検証が必要だな。
「愛華、別のポーズを見たいからしゃがんでみてくれ――『バチンッ!』――っだぁぁぁぁぁぁい!」
「ホント祐君ったらろくな事考えないわね」
透かさず明日香姉ちゃんに看破された模様。
諸君、残念ながら検証は失敗だ。気を取り直して次に行こう。
「よし、次は――」
とまぁ、次々にいろんな衣装を着せ替えていったわけだが……フフン、勿論ただのファッションショーではない。
後日、これらの衣装はネットオークションに出品されるのだ。そう、愛華が着ていた衣装という名目でな。
さぁ、まずは誰でも手が出せる100円からだ。最終落札者はいったいどれだけの金額をつけるのか――オープン・ザ・プライス!
あれから三日後。すべての衣装に買い手がついた。合計30着という出品数にも拘わらず三日で全てを捌ききるという異例のハイスピードでな。
しかも途中、入札者同士で口論に発展するという白熱具合を見せつけ、よく分からんうちに愛華の存在がドンドン広がってったようで、水面下ではファンクラブまで立ち上がったのだとか。
いや、落札者の一人がそう言ってただけで俺が確認したわけじゃないんだけどな。ただの妄想かもしれんし。
でもってお買い上げありがとう的な意味を込めて、落札者達を明日香姉ちゃんのブログに誘導した。そこには愛華の画像がところ狭しと並べられてるし、ファンクラブにとっては夢のような場所だろう。
お陰で明日香姉ちゃんのブログは物凄いアクセス数を弾き出してるらしく、姉ちゃん本人は【愛華可愛い~、アクセス数すご~い】と連呼している。
あ、肝心なことを言ってなかったな。
なんと、愛華の衣装は計82万にまで上り、結果としては大成功だったといえよう。うん、正直俺も驚いている。
これでひとまず学費は大丈夫だろう。
もしかしたら足りないかもしれないが、その時はその時だ。
「ご両親に入学手続きを行ってもらいました。明日から通学することができます」
お茶を飲みながら嬉しそうな表情を浮かべる愛華。
クラスで注目を浴びる可能性もあるし、他の男子共に目を光らすのが日課になったりしてな。
「ところで祐矢さん。落札者の内の一人が学校の校長先生らしいです」
「そうなのか?」
校長ねぇ。これが俺の通う高校だったらどんな顔して挨拶すりゃいいのか。
ま、そんな偶然はないだろうが。
「我が校への入学おめでとう。と、コメントをいただきました」
「…………」
何となく……何となくだが、もう一波乱ありそうな気がするな……。




