表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/35

惑星ウェガ

前回のあらすじ

 マルガフの作り出した空間に誘われた祐矢は、訳もわからず戦う羽目に。

 しかし宇宙人であるマルガフは手強く、ダンマスではあるものの祐矢ではとても太刀打ちできる相手ではなかった。

 もはやこれまでか――というところで、以前動物園にいた熊が魔物に転生して助けに現れる。

 結果、マルガフを倒す事ができたのであった。


「ちょ、ちょっと待ってください。そんないっぺんに言われても……」


 全てを話すと決断したアルタおじさんの口から、新たな事実が告げられた。

 そりゃもう天地をひっくり返さんと言わんばかりの内容で、とてもじゃないが一つ一つを整理しなきゃ頭に入ってこない。


「ですが祐矢さんが真面目に授業を受けるよりは簡単なのでは?」

「うっさいわ」


 愛華、お前はいつも一言多いんだよ。

 授業を受けるより簡単だって? そう言われたらそんな気がしてくるじゃねぇか。

 うん、よく言った愛華。


「ではもう一度おさらいしよう。まずは僕の故郷である惑星ウェガが地球侵略に動き出した」


 そう、第一の問題として、アルタおじさんの故郷から侵略者が送られて来る――というか、既に送られてきたのがマルガフだったらしい。


「知っての通り、祐矢を襲ったのは僕の故郷からの刺客――というより斥候といったほうがいいだろう」


 そう、ここが第二の問題で、マルガフみたいな危険極まりない奴がたんなる斥候だったという点だ。

 つまり、ウェガにはもっと強い奴がいるって事で、そんな連中が軍隊としてやって来れば地球はあっという間に占領されちまうだろう。


「迂闊だったよ。まさか僕の宇宙船から送られた信号のせいで、故郷に地球の事が知られてしまうなんて……」


 以前にも聞いた話になるが、アルタおじさんの宇宙船が故障したせいで地球に不時着を余儀なくされた出来事。

 実はこれ、故障ではなかったらしいんだ。

 詳しくは分からないが、校長が言うには()()()が近くにあると機能の8割が停止するように予め設定されてたらしい。


「つまり、意図的に仕込まれてた――というのですね?」

「うむ、その通りだ。アルタ氏が宇宙旅行をすると聞いた関係者が行ったのだろう」

「くっ……」


 愛華と校長のやり取りを聞いたアルタおじさんが、苦虫を噛み潰した顔をする。

 不運な遭難者から一転、地球侵略の切っ掛けを与えてしまったことが悔やまれるんだろうな。


「ねぇおじさん、なんとか防げないの?」

「……出来なくはないが、現状ではとても難しい。それでもやると言うのなら、これからやって来る侵略者を完膚なきまでに叩きのめすしかない」


 アルタおじさんの袖を引いた今日香が尋ねるが、その返答は困難を極めるものだった。

 そんな事が出来るなら、最初から問題にはならない訳で……。


「ウェガの方も一枚岩じゃない。侵略に賛成する者と反対する者とで割れているはずだ。もしも侵略が容易だと判断されれば、侵略もやむ無しという意見が強まるだろう」


 それは困る。

 是非とも反対派には頑張っていただきたい。


「ではやはり防ぐなら徹底的にやり合って、地球侵略には被害が大きいと思わせる必要があるのですね? 祐矢さんの答案用紙のように」

「ああ。それでも玉砕覚悟で挑んでくる可能性もあるし、正直賭けではあるが……」


 こらこら愛華、場を和ませようとしてるんだろうが、赤点(あれ)はもう修復不可能だ。

 残念だが赤点(あれ)は忘れろ。

 俺も忘れたい……。


「でも一番の問題は()()()()()()()よねぇ」

「「うんうん」」


 明日香姉の台詞に嶺奈と歩美が賛同する。

 最後に第三の問題だ。

 こればっかりは俺が望んだ事じゃないんだが、どうも俺自身から摩訶不思議なパワーが涌き出てるらしく、マルガフに狙われたのもそれが原因だと思われるんだ。

 そしてこの事実は愛華が語ってくれた事なんだが……


「現在異世界から流れ込んできている魔力(マナ)は、祐矢さんが受け皿として受け止めてます」


 ここで言う異世界とは愛華が元いた世界の事だ。

 更に俺が受け皿とはどういう事だと首を傾げると、これは愛華がこの世界に来た理由に繋がってくるらしい。


「どういう訳か、祐矢さんの家には次元の穴が構築されていたようなのです。このままでは()()()()()()が繋がってしまい、世界が融合してしまう――そこで、次元の隙間を埋めるための措置として、ダンジョンを作ることで穴が広がるのを防いでるわけです」


 これが愛華がやって来た理由だ。

 ダンジョンが世界を隔てる壁になっているんだが、異世界から自然に流れ込む魔力までは消すことができない。


「そこで祐矢さんには人柱としてダンジョンマスターになってもらったのです」


 そう、俺が人柱に――




「ちょっと待てぃ! 愛華、今人柱って言わなかったか?」

「言いましたが、それが何か?」

「くそぅ、幻聴じゃなかったYO!」

「祐矢さんには申し訳ないと思いましたが、それしか方法がなかったのも事実です。あの時、祐矢さんが決断しなければ、今頃地球は魔物が蔓延る世界になっていたでしょう」


 そう言われると、良かったようなそうでないような、判断が難しいところだが……。


「いずれにしろ、祐矢くんが狙われる事には変わりないのだ。しばらくは一人で出歩くのは控えた方がいいだろう」

「でも校長、いつまでもそんな――」



 ズズーーーーーーン!


「「「なっ!?」」」


 空襲でも起こったのかと思うほどの衝撃により会話は強制的に中断された。

 巨大な何かが墜落したような音だったが、いったい何が――えっ!?


「なんだありゃ!?」


 窓の外へ顔を出すと、庭に鉄色の小型ボートみたいなのが突き刺さっていた。

 コイツが空から降ってきたんだろうが、もしかしなくても嫌な予感しかしない。


 ウィーーーン!


 入口らしき部分が上向きに開かれ、中から――あれ? 誰も出てこないぞ?

 ――と、思ってたのも束の間。

 俺は再び見知らぬ場所へと誘われた。




「ここは……砂浜だよな?」


 日本のどこかなのか全く無関係な場所なのかは定かでないが、目の前には砂浜あって所々にビーチパラソルが備え付けられている。

 天気も快晴で絶好の海水浴日より――なんていくわけがないのは分かっている。

 分かってはいるんだが……



「フフッ、いらっしゃい坊や」


 ビーチパラソルの下で涼んでいるブロンドロングの巨乳美女が、俺の煩悩をダイレクトに刺激してくる。

 そんな美女がレジャーシートの上でうつ伏せになり、豹柄のビキニを外してサンオイルを差し出してきた。


「塗ってくれる?」

「うっ……」


 な、なんなんだこの状況は? 俺は夢でも見てるってのか!?

 そうか、そうに違いない。

 これは紛うことなき夢なんだ。


「塗らせていただきます!」


 俺は奪い取るようにオイルを掴むと、美女の背中を舐めるように撫で回した。

 それにビキニを外した後の日焼けあとが太陽に照らせれて眩すぃ~~~い!


「フフッ、中々上手よ」

「そ、それは光栄です。よろしければ下の方もお塗りしましょうか?」

「あら、坊やは下の方が気になるの?」

「そりゃもち――じゃなかった。こ、これはですね、後学のために必要なってくるようなそうでもないような気がするんです。せっかくビーチクパラソ――じゃなかった、ビーチパラソルの下で美女とのふれあいなんですし、そりゃもうイケるとこまでイケの精神で!」


 こんなチャンス、例え夢でもいつ巡ってくるか分からん。

 目の毒を食らわば尻までだ!




「祐ーーーーーーッ!」


 ドゲシッ! ズブッ!


「ホゲッ!」

「ギャウン!?」


 思いっきり後頭部から蹴りが……


「って、嶺奈か! なんだってこんなところに!?」

「何でって、助けに来てやったんでしょうが! ――それをアンタは変態じみた事して楽しんで、少しは反省しなさい!」


 腰に手を当てて嶺奈様はご立腹の様子。

 どうやら夢ではなかったらしい。


「つっても嶺奈、いったいどうやってここに来たんだ?」

「愛華のお陰よ。ダンジョンマジックで召喚したドリーム何とかってアイテムで、祐の精神に入り込んだの」


 ああ、そういう事か。

 ここは俺の精神の中ってわけだ。


「でもよ、敵はいったいどこにいやがんだ? ここにはブロンド美女しか――」


 ――と、言いかけて、うつ伏せに倒れてた美女がゆらりと立ち上がった。


「お、おのれ地球人め……。よくも私の尻にカンチョーしてくれたわね!?」

「カンチョー? ――ああ!」


 あ、そういやさっき、嶺奈に蹴られた拍子に指が思いっきり肛門にぶっ刺さっちまったんだよな。

 多分それを怒ってらっしゃるんだと思う。


「あ、これ、俺のせいじゃないッスよ? 嶺奈が力任せに――「うるさい! このセアトを怒らせた事を後悔させてやる!」


 コイツもマルガフと同じく真っ黒なオーラを立ち上がらせた!

 今ここには嶺奈しかいないが大丈夫か!?


「くらえ! ジェイルウィップ!」


 黒いオーラが鞭みたいに曲がりくねると、俺と嶺奈に迫ってくる。


「あまいわよ――グラビティパーマネント!」


 嶺奈のスキル――グラビティパーマネントは、対象を重力で縛り付けるやつだったはず。

 これで真っ黒な鞭は無力化に――え?


 ギュググググググ!


「くそっ!」

「そ、そんな! グラビティパーマネントが効かないなんて!」

「アッハハハ! お前はアルタの娘だろう? 事前に対策くらいは施してあるわ」


 マズイ! 嶺奈が身動き出来ないんじゃ、どうにもならない!


「さぁ坊や、貴方の力――私にちょうだい?」

「くっ!?」


 巻き付いた鞭を伝って何かが吸いとられていく! 多分魔力ってやつが奪われているんだろう。


「ごめんなさいね? 本当はこんな手荒な真似はしたくなかったんだけれど、アルタの娘は黙って見ててはくれなそうだし」


 ああーーークソクソクソ!

 肝心な時に何も出来ねぇ!

 なんだか身体がダルく感じるし、このままじゃマズイのは分かるんだが!


「それにしても凄いパワーね? これだけ吸収してもまだまだ余ってるなんて」


 そりゃど~も――なんて言ってる場合じゃない。

 何とかクマゴロウに知らせる方法は――



「タァァァッ!」


 ズババババッ!


「何!?」


 突然聴こえてきた声とともに、俺と嶺奈を締め上げていた鞭が切断されていく。


「祐矢くん、大丈夫ですか!? ついでに嶺奈さんも」

「歩美!」


 助かった! 歩美も来てくれたんだ、これで勝てる!


「チッ、邪魔者め……纏めて這いつくばらせてやるわ!」

「やれるものなら!」


 再び鞭が延びてくる。

 が、先頭に立った歩美がクナイでズバズバと斬り捨てていく。

 だが俺と嶺奈を守りながらでは無理があるようで、しだいに捌ききれなくなっていった。


「ならば仕方ありません。――奥義火炎龍!」


 でたぁ! 愛華のファイヤーストームと同等の威力がある奥義が、迫りくる鞭を一斉に焼き付くしたぜ!


「あとは貴女だけです!」

「――っと、危ないじゃない、小娘!」


 セアトに向かってクナイを飛ばすが、透かさず現れた鞭によって全て叩き落とされてしまった。

 そしてセアトは浅瀬にまで飛び退き距離を取ると、またもや鞭を延ばしてくる。


「何度やっても同じです――奥義火炎龍!」

「バカめ、同じ手が通用すると思って!?」


 何をするかと思えば、鞭を海面に打ち付けて水しぶきを上げやがった!

 そのせいで歩美の奥義が鞭には届かない!


 シュルルルル――ガシッ!


「くっ、しまった!?」

「「歩美!」」


 歩美が鞭に絡めとられ、敢えなく俺と嶺奈も拘束されちまった。


「さぁ、続きを楽しみましょう?」

「ちきしょう……」


 全然嬉しくねぇ誘いだぜ。

 だが何とかして拘束を解かねぇと……ん?

 解くといえばセアトのビキニ、簡単に着けたせいか今にも脱げそうになってやがる。

 こうなりゃ一か八か――やってやるぜ!


「パワーを全て吸いとったら、お前はただの干物になるのよ――フフフ、わかる?」

「ケッ、干物になんざならねぇよ。そんな事よりテメェの心配でもしやがれ、おりゃ!」




 ズリィ!




「ハッ?」


 根性で飛び上がって、セアトのビキニを足でズリ下げてやった。

 さしずめ【ドキッ! 宇宙人だらけの砂浜、ポロリもあるよ】ってやつだ。 




「イヤァァァァァァ!!」


 お、いいねいいね、その表情!

 だが今さら両手で隠しても襲い。

 お前のパイオツはキッチリと拝んでやったからな!


「今です――嶺奈さん!」

「OK歩美!」


 制御出来なくなった鞭が砂浜にボトリと落下し、再び俺達は自由になる。


「これならどう? ウォーターグラビティ!」

「くっ、身体が!?」


 グラビティパーマネントは対策されてても、水を使ったウォーターグラビティは対策されてなかったようで、とてつもない水圧が重力と同じ働きでもってセアトの体を沈めていく。

 でも浅瀬にいるため、効果は限定的みたいだな。


「次は私です! 奥義鎌鼬(かまいたち)!」


 無防備になったセアトに真空の刃が迫る。


 ズバズバズバズバァ!


「ギャァァァァァァ!」


 結果、セアトは呆気なく切り刻まれ、そのまま消滅していった。


 グニャ~~~


「あれ? これって――」

「空間が崩壊する前兆だ。マルガフの時もそうだったし、間違いないぞ?」

「よかった。私達、無事に戻れるんですね」


 まぁ無事っちゃあ無事だが、どうせ部屋で気を失ってるんだろうけど。

 しかし本格的にヤバイ。

 何とかして対策しなきゃな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ