民家の屋根に狼男が!
前回のあらすじ
魔王の奥さんの来日に備え、観光ルートを空から眺めてた祐矢達。
そんな時、民家の屋根に狼男がいるのを発見し、現場へと急行した。
俺ん家から約30分の場所だと聞いて、人通りの少ない場所をチョイスした。加速スキルを使うためにな。
お陰で10分足らずで現場に到着することができた。
但し、そこに狼男の姿はなく、別の場所に移動したものと思われる――
が、ぶっちゃけそれはどうでもいい。
いや、どうでもいいわけはないんだが、別の問題が浮上したんだ。
「あの家で間違いないのか?」
「はい、間違いありません」
…………。
「本当に?」
「本当です」
…………。
「本当の本当に?」
「本当に本当です」
「今世紀最大に本当に?」
「今世紀最大に本当です」
「間違ってたらどうする?」
「わたくしが厳重に保管してあるスイーツを分けて差し上げましょう」
うん、こりゃ本当だ。
愛華がスイーツを手離すなんて、今世紀最大にあり得ないしな。
そこで俺は真実を受け入れる覚悟を決めた。
そんな大袈裟な――なんてことはない。
何故ならこの家は……
「まさか智樹ん家の屋根に狼男がいたなんてなぁ……」
そう、あろうことか我が親友――三沢智樹の家だったんだ。
偶々そこにいたって可能性もあるが、無関係とも思えない。
何せ俺の周りには、宇宙人のハーフや現代忍者、挙げ句に元魔王までいるんだからな。
「スイーツを利用した判断基準に些か不満がありますが……まぁいいでしょう。とにかく、ご友人の三沢さんに直接確認されてはいかがでしょう?」
「智樹に直接!?」
いや、全力で否定されそうだが……。
「でも祐、聞いたら案外ボロが出たりしてハッキリするかもよ?」
「そうですね。三沢さんも私の正体を知ってる一人ですので、もしかしたら……」
そっか、霧風の正体を知ってる二人目は智樹だったのか。
「よし分かった。直接本人に聞いてみよう」
――ってことで、本人に聞いてみた。
「おう、こんな時間にどうしたんだ? って、まさかハーレムを見せつけにきたわけじゃねーだろうな?」
「いや、別にハーレムってわけじゃ――」
うん、言われてみたらそんな気もしないではないが、この三人に好意をよせられてないとハーレムとは言えないよな?
多分嫌われてはいないと思うんだが、好かれてるかと聞かれたら、自信をもってハイとは言えない――って、いやいや、ハーレム目指してるわけじゃないし、この件は保留だ。
「お~い、祐矢?」
「……コホン。ハーレムは置いといてだ。――智樹、お前って狼男だったのか?」
「よく気付いたな。その通りだ」
「うん、俺としても疑うわけじゃ――え?」
ホワッツ? もしかして肯定しなすった?
「どうした? そんなに意外だったか?」
「いや、普通なら否定する場面なんじゃね? なんでそんな簡単に認めるんだ?」
「別に隠すほどじゃないだろ?」
「「「隠すだろ(でしょ)!」」」
よくこんな性格で普通に溶け込んでられるよな。ある意味すげ~わ。
「多分あれだろ。さっき開放感から思わず変身しちまったのを見てたんだろ? 周りには誰も居なかったはずだけど、どこにいたんだ?」
「それは――」
話が長くなりそうだったんで、中に入れてもらった。
変身した智樹を発見したのは愛華のお陰だし、お互いに秘密を共有するって感じに。
そして智樹の両親とのやり取りがこちら。
「ハッハッハッ! まさか上空から見られてたとは、中々やるじゃないか! ――それに気付かない息子は精進が足りんわい」
「お誉めに与り光栄です。チャージクロウは夜間だと発見し難く、高度も高かったことから気付けなかったのでしょう」
「あらあらまあまあ、素晴らしい使い魔をお持ちなのですね~♪」
飯時なのもあって、晩飯をご馳走になりつつ先の会話となる。
智樹が智樹ならご両親の方も全く隠す気配がなく、バレたのは智樹が未熟なせいだとか言って笑い飛ばされた。
なんとも豪快な人達だが、大勢にバレたらどうするつもりだったんだろう――って疑問を直接聞いたら……
「少々強引だが方法ならある。周りを全員人狼にしてしまえばいいのだよ」
「私達に噛み付かれた者は人狼になってしまうんですもの、昔はそうやって数を増やしたらしいのよ~♪」
怖ぇよ! つ~かせめてバレない努力は今後とも抜かりなくお願い申し上げます。
人類のためにも。
あ、そうそう、ついでに疑問に思ったことを聞いてみよう。
「智樹は屋根の上で何してたんだ?」
非常に素朴な疑問だ。
これがなければ気付かなかったんだし。
「それな。今日は満月だろ? 俺達の一族は満月を見るとな、ついつい気が高ぶっちまうんだよ」
詳しく聞くと、人狼一族は満月を見ると高揚するらしく、体を動かしたり叫んだりして気を鎮めるんだとさ。
そこで今までと同じように変身してから叫んでたが、まさか上空から烏を通してや見られてたとは思ってなかったようで、あっさりと発見された……と。
「念のため確認するが、周囲の誰かを噛んだりしてないだろうな?」
「心配すんな。有り難いことに、そんな事態には陥ってない。それに結婚する場合――あ、いや、だいぶ先の話になるだろうがその場合、パートナーとして選ぶ相手も基本は人外だから、積極的に人間を噛むことはないぞ」
うん、それならいいがな。
「ところでさ、お前らは何してたんだ? 目的もなく烏を飛ばして遊んでたのか?」
「「「「「あっ!」」」」」
しまった! 本来の目的をすっかり忘れてた!
そこでやや一方的だが、智樹にも手伝ってもらうことにした。
勿論校長の事もキチンと話した上でな。
でもって魔界の災害こと――校長の奥さん来日予定の前日、学校が休みなのを利用した俺達は、観光ルートを実際に辿ることにした。
それでも前日までは巡る順番で揉めに揉めたんだが、結局のところ卓上の空論ってことで実際にやってみなきゃ分からんってなったんだなこれが。
よし、さっそく行くか~! ――とはならなかった。
その理由がこちら。
「……で、なんで俺達しか来てないんだ?」
「それは俺が知りたい……」
何故か知らんが、愛華も嶺奈も歩美も先に行っててくれと言ってきたんだ。
あ、歩美ってのは霧風のことな。
愛華と嶺奈を名前で呼んでて、自分だけ名字で呼ぶのは風紀が乱れますって抗議されたのが理由だ。
細かい……さすが現代忍者細かい。
「はは~ん、そういうことか」
「ん? なんだよ智樹?」
「つまりアレだよ、女の嗜みってやつだ」
「???」
俺がさっぱり分からないって顔してると、露骨にため息をつかれた。
「はぁ……分かってないなぁ……。女ってのはな、メイクやドレスアップに時間をかけるもんなんだよ」
うん、分からん。
俺としてはパパッと外出しちゃえばいいとおもってるんだが、そうでもないらしい。
「ごめんなさい、待たせちゃいましたか?」
――っと、色々考えてると、歩美が最初に到着したようだ。
「いや、ぜんぜ……ん?」
振り向いた俺の視界には、メガネを外した風紀委員長がフワッとしたミニスカートを履いてる姿だった。
「あ、あの……変……ですか?」
「いいい、いや、ぜぜぜん!」
いかん、噛んじまった……。
なんつ~か、学校で見る真面目~な印象が感じられない。
俺としては今の見た目の方が断然いい!
あ、一応否定しとくが、ミニスカだからってのが理由じゃないからな? ミニスカの割合は精々7割だ。
「祐~! 待たせてゴメ~ン!」
お、この声は嶺奈だな。
「大した待ってな――おお?」
嶺奈は嶺奈で、デニムのホットパンツに黒いジャケットというギャルっぽい姿に。
健康的な脚がとってもナイスな感じ!
「どしたの?」
「い、いや、なんでもないぞ」
危ねぇ危ねぇ。
生足見てたのがバレるとこだった。
「皆様、お待たせ致しました」
愛華が最後か。
どれ、どんな姿で現れたのかなぁ~――
「――って、おい!」
「?」
「いや、首傾げんな」
どう見ても愛華の格好は初音〇クそのものだった。
以前も同様のコスプレをしたことが、まさか今日この場に持ち込むとは……。
「明日香さんから、是非この格好で写真を撮ってきてくれと頼まれまして」
どうしようもないな、あの従姉は……。
「まぁいい。さっそく実際に巡ってみるぞ」




