90 今日は入学式です3
「おはようございます、皆さん。」
教壇に立った若い先生にみんなで挨拶を返す。
「まずは、一年生の皆さん、入学おめでとうございます。
初等学校での五年間が皆さんにとってかけがえの無いものになることを祈っています。
と、堅苦しいのはここまでにして――」
黒板に名前を書いていく先生。
「テレージアって言います。一年の人は初めまして、二三年の人は今年もよろしく。
毎年、こっちの低学年クラスを担当しているよ。
ここで質問タイムといきたいところだけど、もう時間だから後にするね。
それじゃあ、校庭に行くよ。」
テンション高めの先生に連れられて、
僕たちは入学式の舞台、校庭に移動するのだった。
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「入学おめでとう。
これから五年間この学び舎で皆さんは過ごしていくことになります。
さて、初等学校は国の政策で作られたものですが、その基本理念を知っていますか?
……この国では――」
校庭に並んでいる僕たちの前で話している校長。
その横にはテレージア先生を含め、三人が並んでいる。
校長の話が始まる前にあった紹介では、
この学校には校長と横に居る三人しか先生は居ないと言っていた。
たったそれだけでやっていけるのは生徒数が少ないのと、村の人達の協力のおかげだ。
生徒は一年から五年まで合わせても三十人ほどしかいない。
その全員が今この場に集まっている。
しっかし、話長いなー。
生徒と僕たち新一年の保護者達、先生。
五十人ぐらいしか居ないっていうのに、よくそんなにも話せるよな。
確かに良いことを言ってるは言ってるんだけど、
正直言ってもう飽きてきた。
どの世界でも校長っていうのは話が長いっていう属性を持っているんだな。
チラッと目だけで横を見てみれば、
「……zzz」
もちろんギームは寝ているし、
「……」
「……」
アレフとビートはハンドサインで会話してやがる。
そんなことできるのか……
ちょっと意外なのは、アデクだ。
じっとして話を聞いている……ように見える。
騒いだり何か変な事をしかねないと思っていたのだが。
視線を前に戻すとちょうど話が終わるところだった。
「――みなさんが学校生活を送るなかで健やかに成長していくのを楽しみにしています。」
「はい、校長先生ありがとうございました。
これで、入学式を終わります。
……それじゃあ、生徒のみんなは教室に戻ってね。」
いよいよ魔力波特性測定の時間だっ。




