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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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88 今日は入学式です1

柔らかな日差しが降り注ぐ春の日。

暖かい風が肌を撫でる中、父と母とともに村に向かうと

入り口にミリアちゃん達カルティーユ家と暁の旅団、ルーシェちゃんがいた。

挨拶を交わした後、みんなで花びらが舞う村を歩いて行く。

後ろからは、


「良い天気になりましたね。」


「ええ本当に、入学式日和ですよ。」


という母とミレナさんの声や


「フリッツ、ちゃんと仕事しろよ。」


「言われなくてもちゃんとやるぞ。毎年、俺が担当してるんだからな。」


大きめの機械を持ったフリッツさんと父の会話が聞こえてくる。

そう、今日は僕たちの初等学校入学式の日である。

新しい生活への期待に胸を膨らませたり、

これからの人間関係に不安を感じたり、

いよいよ魔法を使えるようになることに浮かれたりしながら、

今日から五年間通うことになる学び舎に歩を進めていく。



「学校楽しみだね。」


「……うん。」


「そう?私、そうは思わないけど。」


僕の言葉に二人らしい反応をするミリアちゃんとルーシェちゃん。

話をしながら歩くこと五ミニ、村の北部にある学校が見えてきた。

気分に任せて三人で校門まで走ってみる。

門のところで振り返ると、桜色の並木が美しい。

父達からは少し離れてしまったので立ち止まって待つことにする。

そのとき、横から男子の集団が現れた。


「おやぁー、女子三人組だ。

入学お・め・で・と・う。

公都から追い出された女と、魔導具と娘しか見えてないバカのところの娘

それから、教授様のところのお嬢様。

おっと、違った違った男だったか。くっくっく。」


こちらを思い切りバカにしたような態度で言う男子。

そして、その言葉に合わせてクスクス笑う取り巻き。

ちっ、アデク達か。

せっかく高揚していた気分を台無しにされる。


「楽しみだなー。教授様のところの魔力色。

最低でも青ぐらいはないとなー。

ちなみに、俺はかなり水色に近い緑だぜー。

父親が紫なのに赤とかだったらなー、ぶぁっはっはっは。

ひー、想像したら笑いがとまんねぇ。

せいぜい良い色が出ることを祈ってるんだな、お・じょ・う・ちゃ・ん・た・ち。」


そう言って五人の取り巻きを引き連れながら校舎の方に歩いて行くアデク。

その姿が見えなくなってから、僕は息を吐きつつ、

奴らの言葉の途中からルーシェちゃんを掴んで留めていた右手を放す。


「ルーシェちゃん、あんな奴ら相手にしなくていいから。

僕もイラッときちゃったけど。

でもここで手を出してせっかくの入学式っていう記念日を台無しにしたくは無いでしょ。」


「まあ、そうね。」


そこで、父達が合流する。


「さっき、あの悪ガキと話してたみたいだが大丈夫だったか?」


「うん、平気。僕たちは気にしてないから心配しなくていいよ。」


父達までいやな気分にさせたり、無駄な衝突を起こすことを避けるためにそう言って、

僕たちは初等学校の入り口へと向かった。

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