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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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85 今年もこの時期です4

「ディー、頼む。」


「分かった。」


そう言うと、ディーさんは腰のポーチから赤い布を取り出した。

まさかあれは……


「いいか、今からディーにピュイサンボアを引きつけておいてもらう。

おまえらはそれを狙え。

……くれぐれもディーには当てるなよ。」


「それは……フリ?」


「じゃねえよっ。当てたら後でどうなるか分かってるんだろうな、坊主。」


僕の言葉を即座に否定するディーさん。

そして、威圧感を出してくる。


「ちょっ、ごめんなさい、冗談ですからやめてください。」


謝り倒す僕。

それを呆れた顔で見るみんな。

もちろんルーシェちゃんも……って、ミリアちゃんまでそんな顔で見るのやめてぇ。


真剣な雰囲気が霧散したところで父が咳払いした。


「あー、そろそろ始めてもいいか?」




突進してくる動物。

布で気を引き、躱しているのはディーさんだ。


「じゃあ、ミリアちゃんから行くか。

コツとしては、方向転換で動きが止まるところを狙うことだな。」


そう言うと、父はミリアちゃんの立つ位置を指定する。

ディーさんから十五メーテ程離れたところだ。

見ると、少し顔が強張っている。


「ミリアちゃーん、深呼吸深呼吸。」


目を閉じてスゥー、ハァーと息をしてから前を見据えるミリアちゃん。


「いいか?」


深く頷く。


「じゃあ、始めっ。」


右手に魔力を集めるミリアちゃん。

そして、動き回るボアに狙いをつけようとする。

手が右へ左へ動く。

動きが鈍ったかな?というタイミングで撃ち出すが、命中しない。

そのまま二度三度試みるがやはり駄目なようだ。


「お父さん、助言しても?」


「いいぞ。」


「ミリアちゃん。腕は固定して、狙ったところに敵が来るのを待つんだよ。」


魔力は結構な速さで飛んでいくので、

撃ち出す手さえぶれなければそれで当たるはずだ。


頷いたミリアちゃんは、腕の方向をディーさんの右方に固定する。

そして、


「……ここ。」


撃ちだした魔力は見事に命中したのであった。

その体を地面に横たえるピュイサンボア。

数秒後、意識を取り戻したそれは一目散に逃げていった。


「ミリアちゃん、合格だ。」


父の言葉を聞き、ホッと一息つくミリアちゃん。


「お疲れ、ミリアちゃん。」


「……ありがとう。アヤト君も頑張って。」


「おう。」


僕がそう答えると、ミリアちゃんは、にこっと微笑んだ。


「……」


「おいどうした、アヤト。次はおまえだぞ。」


おっと危ない、意識が天に昇ってたな。

返事をすると、さっきミリアちゃんが立っていた位置に立たされる。


「説明はもう良いよな。始めっ。」


いつの間にかディーさんは別のボアを連れてきていたみたいだ。

それがディーさんにつられて動く範囲を見極め、

その端っこ、ディーさんの左で方向転換する場所に狙いを定める。

右から突進してきたそいつが狙っていた空間に入った瞬間イメージの引き金を引く。

飛びだした魔力は一直線に向かっていき、命中する。

そして……




魔力が命中した動物は

全身から血を噴き出して倒れた。

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