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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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82 今年もこの時期です1

「今年もこの時期がやってきたな。」


春の暖かい日差しが降り注ぐアルヴ草原。

ここに今、九人が集まっていた。


「アヤトとミリアちゃんは上達具合のチェック。

それと、ルーシェちゃんにはレクチャーだな。」


どうやら、いつの間にか父の中で毎年のイベントになっていたらしい。

というのは、父による魔法講座だ。

一昨年はフォンターニュ一家。

昨年はフォンターニュ家とミリアちゃん達カルティーユ家。

そして今年は、そこにルーシェちゃんとディーさんが加わって

大所帯となっていた。

そのうち、母とミレナさん、ディーさんはフーシアに構っている。

そして、こちら側で僕は父と向かい合っている。

右には亜麻色の髪で紅色の瞳の少女。

左には銀色の毛で青色の眼の少女。

傍からみると両手に花?

まあ、全員約五歳だから昔の僕が

「爆発しろっ」

なんて言うような状況には見えないはずなんだけどねー。はっはっは。


「さて、始めるか。」


そう言うと父はフーシアちゃんを見る。


「ルーシェちゃんはディーから魔法については聞いているんだな。」


「ええ、一応。」


「じゃあ、魔法の源、魔力についてから始めよう。」


そう言うと、父は魔導具を取り出す。


「ディーから聞いたって事は、魔導具は見たことがあるだろう。

それで、この端子に魔力を流すのだが……」


魔導具から飛び出た二つの突起を指差して言う父。


「その魔力とは何か知っているか?ルーシェちゃん。」


「……」


父からの突然の質問に答えられるわけもなく黙っているルーシェちゃん。

しばらく待って、父は質問の矛先を変えた。


「じゃあ、アヤト。教えてやってくれ。」


「……」


「おい、まさか忘れちまったのか?」


そうでは無い。そうでは無いのだが……

どう答えるのが正解なんだろうか?

多分父は、魔力は波だ、と答えて欲しいのだろうけど、

グレインさんが言っていたことを踏まえると

波だけじゃなさそうなんだよな……


僕が悩んでいると父ため息をついた。


「仕方ないな、ミリアちゃん頼む。」


「……波。」


「波?」


「そういうことだ。ちゃんと覚えていたな、偉いぞミリアちゃん。

アヤト、しっかりしてくれよ。」


そう言ってから、ルーシェちゃんに魔力波の説明をしていく父。

それを横に、ミリアちゃんが話しかけてきた。


「……どうしたの?アヤト君。

アヤト君が……魔法の事について忘れてるなんて。」


なんだろう、その僕がいつも魔法のことばかり考えているとでもいうような台詞は。

……いや、自分を振り返ってみるとそうかもしれない。


「ちょっと、魔力の正体について考えがね……

まあ、何か分かったら教えてあげるから。」


とりあえず言葉を濁す僕であった。

アニメ鑑賞にかまけて執筆時間がどんどん遅くなっている今日この頃。

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