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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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78 研究者は変人ばかりです


コンコン


「おい、オスカー。」


公都から帰ってきてから数日、

いつものようにリビングで身体強化の練習をしていると、

誰かが訪ねてきたようだ。

父が玄関に向かったので

練習の続きをしていると


「チッ、おまえかよ、グレイン。」


そんな父の声が聞こえてきた。

グレインさん?誰だろう?

丁度一通りの訓練が終わったところで

母と一緒に様子を見に行く。

すると、父と男の人が互いにそっぽを向いていた。


「オスカーさん、またやってるんですか。」


「だってこいつがな……」


「だってではありません。

グレインさん、お茶をお出ししますね、上がっていってください。」


「ありがとうございます。」




「へぇー、グレインさんも魔法研究者なんですか。」


「そういうことだ。俺は基礎魔法学を専攻している。」


「そうなんですか。お母さん、もしかしてこの前公都で言ってたのって。」


「そう、この人よ、よくオスカーさんと主張をぶつけ合っているのは。

それで、グレインさんはどうしてここに?」


「ちょっとこっちに用がありましてね、

ついでにオスカーの考えを正しに来たんですよ。」


「自分の間違いに気付いて謝りに来たの間違いじゃないのか?」


「なんだと?」


「なにおう?」


ムムムッ


にらみ合いを始める二人。

またか、と母はため息をついている。


意見を戦わせ続ける二人からこんな言葉が聞こえてくる。


「はあ?魔力は波だって教えた?」


「あたりまえだろその通りのことなんだから。」


「いや、違うね。ちょっと良いか? アヤト君だったか?」


「はい、何でしょう?」


「君はオスカーから魔力は波だって聞いただろうが、それは違う。」


「違う?」


「ああ、魔力は波じゃ無くて、本当は粒子だ。

粒子の数と運動量が魔力特性を決めているんだ。」


「おい、グレイン。アヤトに間違ったことを教えるんじゃねえ。

魔力は波だ。」


「いいや、魔力は粒子だ。」


火花を散らす二人。


「今の研究では波っていうのが主流だろ。

いくらでもその論文は出てくるし、もし波じゃ無いっていうんなら

魔導具はどうやって動作してるんだっつーの。

基礎魔法学のくせにそんなこともわかんねーのか。」


「魔力は粒子だ。波だ波だっていう奴らはただ主流だっていうだけで

ちゃんと確かめもせずにそう言ってるんだ。

実際に魔力は粒子で無いとありえない実験結果も出ているんだ。

自分で実験もしないうえに既存の実験結果すら無視するなんてな。

これだから応用魔法工学の連中は。」


二人からの熱に圧倒される。

そんな中、僕は思った。


へぇ、魔力は波っていう説だけじゃ無くて粒子であるっていう説もあるのか。

それに、どちらにもそれを裏付ける実験結果が出ていると。

なんかどっかで聞いたことがあるような……

そうだ、光とか量子とかだ。

ってことは、魔力も波であり粒子でもあるということなのかも。


そこまで考えたところで意識を戻すと、

母が二人を仲裁しているところだった。

それからは、世間話を続ける。

しばらくして、グレインさんは帰って行ったのであった。

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