76 ベッドの上は退屈……ではなかったようです5
「すまんすまん。
まさかルーシェが夜に抜け出してまで
おまえのところに行くとは思って無くてな。」
「しっかりしてくださいよ。
一瞬殺されるかと思ったんですからね。」
昨日の夜に心に決めた通り僕はディーさんに文句を言う。
まあ、結局特に何も無かったから文句も冗談半分だが。
「なんでディーさんはルーシェちゃんに
リベンジして来たらどうだなんて言ったんですか?」
「それは、ルーシェがしたそうだったから
勝手に行ってどっちかが怪我したりする前に
制限を設けて許可したってわけだ。
それと、どっちにも刺激になると思ってな。」
「刺激?」
「ああ、これからルーシェを鍛えていくつもりだからな、
できればおまえをライバルにしたいんだ。
それに、おまえも気を抜いているところを狙われるのは初めてだっただろ。」
それは確かに。
それにしてもライバルか。練習相手が増えてくれるのは嬉しいかな。
でも……
「ライバルは良いんですけど、明日にはアルヴに帰る予定ですよ。」
「そうだった……」
まさかディーさんそこ考えてなかったのか。
開いた口が塞がらない。
「そうだな、丁度良い頃合いだし、公都のギルドには
ルーシェのことをあんまりよく思ってない奴らもいるしな、
拠点をアルヴに移すか?」
「うちの村にですか。」
「ちょっと考えてみるわ。
まあ、そういうわけでじゃあまたな。」
そう言うと、ルーシェちゃんを連れて出て行くディーさん。
ルーシェちゃんは入り口で振り返って言った。
「じゃあね、アヤトちゃん。」
……ちゃん?
「待て待て待て、僕は男だ~~」
僕は言うが閉まった扉の向こうに届いたか分からない。
はぁ、まあいいか。ディーさんの言いぶりだと
またすぐに会うだろうしそのときに教えれば。




