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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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75 ベッドの上は退屈……ではなかったようです4

「そんなことになっていたんですか。」


「ああ。こんな事件初めてだから

まだいろいろ話し合っている事もあるがな。

緊急依頼の報酬をどうするかとか。」


「ディーさん、例に出す事それですか。」


レンさんがディーさんの発言に突っ込む。

それでさっきまでの真面目な空気が和らいだ。


しばらくいろいろ話した後、


「じゃあ俺たちはそろそろ行くわ。

お大事にな、坊主。」


「お大事に。」


「……お大事に。」


「はい。そちらもお元気で。」


ディーさん達は帰って行ったのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


草木も寝静まるころ。

何か違和感を感じて目を覚ました僕の上に人影があった。

全く掴めない状況に思考が停止する。

動けないでいる僕に手を伸ばしてくる影。

その手が僕に触れる寸前、

父の特訓のお陰か咄嗟に身体が動き

影の手首を捕まえて身体を反転させ組み伏せる。

そのとき、開いている窓から月の光が差し込んできた。


「えーっと、ルーシェちゃん……だったっけ?」


「やっぱり邪魔されたのは偶然じゃ無かったんだ。」


僕の問いかけをまるっきり無視してつぶやく女の子。

そういえば地下でもこんな風に取り押さえたんだったな。


「それで何しに来たの?」


もう一度聞くとようやく彼女は答えた。


「リベンジ?」


なぜに疑問形。


「リベンジって地下の?

それでこんな時間に?

ディーさんのところを抜け出してまで?」


「そう。昼にあの男が言った。

気が済まないならリベンジしてきたらどうだって。

素手かつ寸止めで怪我さえさせなければ許すとか言ってた。」


ディーさん、なに許可しちゃってるんですかっ。

次会ったら文句言ってやる。

それはそうと、


「そういえば、名前教えて無かっ――」


「知ってる、アヤト。あの男に聞いた。

初めて私を止めた人、絶対忘れない。」


それだけ言うと、彼女は目を閉じて……


スースーと寝息を立て始めた。


「……」


えーっと、僕はどうすればいいんだろう。

とりあえず手を放すが、やはり寝たふりなどでは無く

寝入ってしまったようだ。


うーむ、困った。

こんな時間じゃ誰かに伝えに行くことも出来ないし……ふぁ。

対応を考えていると、


「あれ?」


視界がふらつき、傾いていって横になる。

そしてそのまま意識は深く落ちていくのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目を開けると銀髪の女の子がいました。

……そうか、僕は寝てしまったのか。

って、これ誰かに見られたら少々面倒な事態になるんじゃ――


「……ア~ヤ~ト~?」


「ひぃ。」


母が現れた。


「ここは病室なのに女の子と寝ているってどういうことかしらね~?」


「いや、これは……」


「ふぁあ。」


ここでルーシェちゃんが目を覚ます。

彼女は可愛く伸びをして周りを見渡す。

そして、致命的な一言をつぶやいた。


「組み伏せられたあと、どうしたんだっけ?」


それを聞き取った母が鬼の形相となる。


「組み伏せたですって?

何してたのかしら。」


「それは、誤解で――」


しどろもどろになりながら弁明しようとするも、

努力むなしく母の説教が始まってしまうのであった。


説教の途中で


「おーい、ルーシェはこっちに来て……」


とディーさんが入ってきたが、こちらを見て


「よし、出直そう。」


とつぶやき、すぐさま退室していった。


待てやコラ。この状況の責任の半分くらいあんたにあるやろ。


結局、母の誤解が解けたのはそれから二十ミニ後の事だった。

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