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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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5 父親は説明魔です2

「オスカーさん、アヤトはまだ小さいんですよ。そんなこと説明しても……」


 二人はこちらを見る。


「「……」」


 二人は何も言えなかった、と言えば僕がどんな表情をしていたか理解できるだろう。


「まあ、魔導具での魔法は五歳になるまでは禁止されているから知識だけになるがな」


 やはりあと二年は魔法を使えないのか。はぁ。


「でも、あまり知られていないが、実は魔導具を通さなくても使える魔法が二つだけある」


「ほんとっ?」


父は悪戯っ子のような笑みを浮かべて言う。


「本当だ。魔導具を使わないから厳密には魔法とはいえないがな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 魔法は昼食の後に教えてもらうことになって、今は休憩だ。

 僕は草原の植物などいろいろなものを見ていく。興味を惹かれるのはやはり魔法だけではないのだ。


「アヤトー、あんまり遠くに行っちゃだめよー。」


「わかってるー。」


 そう言って僕は駆けだした。




「オスカーさん、やっぱり教えるのかしら。あれって条例の穴みたいなもので、グレーもいいところですよ」


「あれだけ魔法を使いたがっているんだ。放っておいたら勝手に魔導具をいじりだすかもしれんだろ。それよりはこれぐらいのほうがいいだろう。おれも親父から聞いて四歳半ぐらいでは使ってたし」


「それでも、アヤトはまだ三歳ですよ。早すぎではありません?」


「じゃあ、あんなアヤト放っておけたか?」


「……はぁ、仕方ないですね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ご飯も食べ終わっていよいよだな、と思っていると父はなにやら魔法で桶の水を凍らせているようだった。


「おとうさん、何してるの?」


「これはなぁ……的だ」


 的?


「じゃあ、早速始めるか。さっきも言ったように魔導具を使わなくても使える魔法は二つある。まあ、実際にやってみせた方が早いか……ちゃんと見てろよ」


 そう言うと、父は半径一メーテ程もある氷の塊の中央に左手を突き刺して持ち上げ、空に向かって投げ上げた。

 結構細身な父のどこにそんな力が?と思いながらも呆気にとられていると、父はまだ五メーテ程上空にある氷に向かって右手をまるで掌底を打ち込むかのように突き出す。すると、今度はその氷が破裂するかのように砕け散った。気づけば周りには、ダイヤモンドダストみたいに氷の粒が舞っていた。

 僕が言葉を発せないでいると「どうだ、分かったか?」と父に聞かれた。

 分かるわけがない。最後に魔力が氷に飛んでいったみたいなのは分かったけど、父はいったい何をした。


「オスカーさん、やり過ぎじゃないかしら。ほらアヤトが呆然としてるじゃないの」


「いや、久しぶりだったし、息子の前だと思うと気合いが入っちまってな」


 母がこちらに来る。


「ほら、アヤトも。これからあれお父さんに教えてもらうんでしょう」


 はっと我に返る。


「おとうさん、いまのは?」


「さすがに分からなかったか。今のは身体強化と魔力放出だよ」


 父は笑いながらそう言った。

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