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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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62 アジトは地下です3

それにしても、この通路は一体何なんだろう。

隠し扉とかあるし普通じゃない。

公都の地下にこんなものがあるなんて……


「おまえら、右に寄れ。

床に罠のスイッチがある。」


ディーさんに従って、壁沿いを進む。

左を見ると確かに床のレンガの組み合わせが不自然だ。

よくあんなのに走りながら気づいたなぁ。


「そこは年季だな。」


とはディーさんの言。

角を曲がり、階段を降り、

隠し扉を越え、ディーさんの先導で進んでいく。


そして、たどり着いた広間。

そこには、両腕と両足をロープで結ばれて

気絶している女の子と

長髪の男が一人いた。


「よぉやく来ましたかぁ。

よぉこそ最初のお客さぁん。」


「おまえがリーダーか、おとなしく投降してその子を解放しろ。」


「まぁまぁ、性急でぇすねぇ。

この状況でもそぉんなことが言えますかねぇ。」


そう言うと指を鳴らす男。

すると、ドッと後ろの通路からローブを着た奴らが

十数人なだれ込んできて、僕たちを半包囲する。

まずい、退路が断たれてしまった。


「ちっ。まだこんなに残っていたのか。

総員戦闘準備。」


「おやぁ。こんな戦力差でもやるつもりですかぁ?」


「やるしかないだろう。」


そう言うとディーさんは剣を抜きながら言う。


「俺があの男の相手をする。

おまえらは坊主を守れ。」


「隊長、一本剣が折れてるじゃないですか。

私もそっちに……」


「ダメだ。あの男はおまえじゃ相手にならない。

それに、これだけの数の敵がいるんだ

しっかり坊主を守ってやってくれ。」


「……わかりました。」


「みんなも、坊主と自分の命を守ることを最優先に考えろ。

最悪、俺がやられたらなんとしてでも逃げるんだ。

いいな。」


不承不承(ふしょうぶしょう)ながらも頷くみんな。


「死なないでくださいね。みんなが哀しみますから。」


母の言葉に


「ああ、努力する。」


と応えるディーさん。

そこでパンッと手を打つ長髪の男。


「作戦会議はもういぃですかぁ?」


そぉれではぁ――と男は口角をつり上げると

手を振り上げながら言葉を放つのであった。


「パァティーのスタァトでぇす。」

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