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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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58 移動先は地下です3

「反省しているようだし、話を進めるぞ。」


時間経過によってか再び閉じた隠し扉の前で

ディーさんは言う。


「こんな仕掛けの向こうに、

この男がいた時点でまあ確定だろう。」


そう言って、腕と足を縛られている男を指さす。

僕が説教を受けている間にネロさんがやったようだ。

すでに男は目を覚ましている。


「さっきので気付かれてないと良いんだが、

まあそれを考えても仕方ない。

じゃあこれから、ここを誘拐犯のアジトだと仮定して行動するぞ。

坊主の安全を考えて、まずは俺ひとりで潜入したい。

ネロさんと坊主には応援が来るまでここで待っていて欲しいのだが……」


本当はついて行きたいが、

さっきリーダーの指示に従うと心に決めたばかりなので我慢する。

僕が指示通り残ると伝えるとネロさんは言う。


「メアリーと約束したしここに残るよ。

でもディー、水路の入り口にいた男といい

こんな場所を隠れ家として使っているあたり

敵も並みの奴らじゃないと思うよ。

本当に気をつけてね。」


「ああ。それじゃあ行ってくる。

援軍が来たら追いかけてきてくれ。」


そう言って、仕掛けを操作し

扉の向こうへ足音も無く駆けていくディーさん。

やがて、扉が閉まり辺りが暗くなる。

天井には等間隔で穴が空いており光が入ってきているが

ほとんど陽が落ちているためかその光もほんのわずかである。

頼れる光源はネロさんの持っているランプだけだ。

二人ともディーさんの心配をしながら応援を待つ。

そんな中、


「ちっ、一人だけかよ。

まあ、でもあいつだったらかろうじて釣り合いはとれるか。」


と男がつぶやく。

釣り合い?

疑問に思っていると、ネロさんが男に問う。


「おい、おまえ。何の話してる?」


「ああ?そんなん教えるわけねーだろ、バーカ。

せいぜい悩みやがれ。

……いや、この縄解いたら教えてやっても良いぜ。」


人を食ったような態度をとる男。

イラッとしてしまうが、一旦落ち着こう。

ネロさんも自制したようだ。

この男に質問してもこんな態度じゃ

まともな答えは期待できないだろう。


「おーい、聞かないのかー?

あいつ、しーんじまうぞー、はははっ。」


無視だ無視。


「おー、仲間が殺されるってのに追いかけないのかー?

そっちの女も、そこの子供でさえ?

どんな育てられかたされたんだろーなぁ。

親の顔が見てみたいぜ。」


……


「罠に嵌まる仲間を放っておくのかい?んー?」


ちっ。

むかついた僕はつい仕掛けを動かそうと駆け出してしまう。

が、そんな僕の右腕をネロさんが掴んで止める。


「だめ。待ってろって言われたでしょ。」


「でも、ディーさんが……」


「あんな男の言うことなんて信じないの。

もし本当だったとしてもディーなら大丈夫。

あいつは簡単には負けないし、

自分一人だけだったら命の危険を感じた時

すぐに逃げ帰ってくる。

生き残ることに関してはあいつの右に出る奴はいないよ。」


そう聞いて、少し落ち着く。

すると、さっきの男の言葉に引っかかりを覚えた。


どこだ?僕は何処が気になっている?

……

そうだ、『罠』だ。

男は確かに罠と言った。

罠ってなんだ?

ただ男の煽り文句なだけなのか?

それとも、アジトに仕掛けられているのか?

はたまた、まさかこの事件そのものが『罠』だったりするのか?

いや、さすがに最後のはないか。


そんなことを考えつつ、援軍を待つのであった。

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読んでいただきありがとうございます。

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