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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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4 父親は説明魔です1

3歳児に教える内容かよ!という突っ込みは無しです。

 次の日、僕たちフォンターニュ一家はアルヴの草原にいた。

 緑の絨毯の上、父は魔導具を取り出して言う。


「まず、アヤト。魔法には基本的に魔導具が要る。じゃあ、魔導具は何をしているか分かるか?」


 僕は魔導具を観察しながら考える。これ何かに似てるんだよな。今までに見たことがある何かに。


「やっぱり難しいか。ヒントはその端子に魔力を流すことかな」


 端子?そう言われて僕は気づく。これって大学で散々みてきた四端子回路に似ているのか。で、この端子は入力だと。出力はIHみたいなところか?


「まりょくをなにかにかえる?」


「おぉ、正解だアヤト。この歳でここで分かるとは魔法研究者の才能があるかもな。魔導具っていうのは生き物の魔力を現象に変換するんだ」


 父はそう言うと魔導具のダイヤルを回し始めた。


「まず、生き物の魔力っていうのは波なんだ。これを魔力波動、一般には魔力波という。そして波には大きく分けて三つの要素がある。振幅、振動数そして波長と呼ばれるものだ」


 そう言いながら、父は二つの桶を用意してそこに魔導具で生み出した水を注いだ。


「簡単に言うと、振幅は波の大きさ。どれだけ大きく揺れるかだ」


 父は別の魔導具で二種類の波を起こす。そして、両方の桶に葉っぱを浮かべた。


「右の桶の方が振幅の大きい波を起こしている。右の葉っぱの方が大きく動いているだろう。振幅が大きい方がエネルギーが大きいってことだ」


 父は再び魔導具を使って、二種類の波を起こした。


「次は振動数だ。これは簡単に言うと、一セック間(秒→セック 分→ミニ 時間→アワ らしい)に何回揺れるかだ。今度は二つとも振幅が同じで右の方が振動数の大きい波を起こした。葉っぱを見てみろ」


 僕は桶を覗き込む。


「右の葉っぱの方が激しく動いているだろう。振動数が違えば振幅が同じでもエネルギーは違うんだ。振動数が大きいほど大きなエネルギーを持っているんだ」


 父は持っていた紙に波の図を書きながら言う。


「最後に波長だが、これは波一つ分の長さだ。この図で言うとこの山と山の間の長さになるな。同じものの中を通る波は波長が長くなれば振動数が小さくなるという性質がある。だから波長が短いほどエネルギーは大きくなるということだな。だから実質は振幅と振動数が魔力波の要素だと言ってもいいかもしれない」


「そうなんだ。」


 ここら辺はあの世界の法則と同じなのか、と僕は理解する。


「ひとりひとり持っている魔力波は振幅も振動数も違う。ある一定の幅の中でだがな。しかもいくつかの波が重なり合ってひずんだ状態になっているんだ。

こうしたひとりひとりの魔力波の違いを、魔力波特性と言うんだ」


 父は魔導具を僕に渡す。


「また、火が起きている状態とかを波で表したりこういう物自体も波でできていたりするんだ。これを俺たちは現象波と呼んでいる。」


 これは、前の世界で言う素粒子とかの波動性に当たるのかな?

 父は僕の手元にある魔道具を指差す。


「魔導具はこのダイヤルを回して自分の魔力波特性に合わせた後、魔力を流すことで魔力波を現象波に変換することができるのだ。この技術を魔法と呼ぶ」


 これが魔法!呪文を唱えてとか、魔法陣がどうとかっていうのよりも面白そうじゃないか。もしかするとあの世界で勉強した知識が使えるかもしれない。僕は期待に胸を膨らませたのだった。

今回、波のエネルギーについて言及している場面がありますが、実際には振動数がエネルギーに関係しない波も存在します。例えで出された水面波ですがこちらも振動数がエネルギーに関係しない波です。あくまで父親が(見た目は)3歳児に教える時の例えですのでご容赦ください。

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