50 犯人は潜伏中です1
広場でレンさんが言う。
「ディーさん、どこに向かいますか?」
「うーん、犯人は北に逃げたようだし
北地区か……いや、東地区に回ろう。」
「どうしてですか?」
僕は聞く。するとディーさんはこう答えた。
「まず、今は北地区で学会が開かれているだろ。
それの警備で今日は騎士団が北地区の巡回をしているんだ。
犯人からするとそんなところに潜伏したくは無いだろう。
しかも、さっきギルドで先に出たパーティーがいるって言ってただろ。
多分そいつらは北地区を西から捜索しているはずだ。
だから、俺らは捜索の穴になりそうな東地区から探すんだ。
南も西も人が多くて、潜伏しにくい地区だから東からだ。」
「そういうことですか。」
みんなもなるほどと頷いている。
「東地区ですね。分かりました。
主人が帰ったら伝えておきます。」
そう言って、ミレナさんが別れる。
そして……
「時間が惜しい。行くぞ。」
ディーさんの言葉をきっかけに、僕たちは捜索を開始するのであった。
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目撃者がいないかどうか、聞き込みをしながら移動すること三十ミニ。
一つも目撃情報が無かったのは
果たしてディーさんの読みが外れたのか
犯人が熟達しているからか。
僕たちは職人街の入り口にいた。
「ここまでは、なにも情報が無かったか……」
そうディーさんがつぶやく。
そのディーさんにチェルミナさんが聞く。
「隊長、ここで聞き込みする?
それとも引き返す?」
「うーん。見逃したら厄介だし、しばらくはここを捜索するぞ。
ウォーレルとチェルミナ、レンとテレスの二人一組で店の人に聞き込みをしてこい。
俺らは職人街周囲の人の聞き込みに行く。
三十ミニ後にここに集合だ。」
「「「「了解。」」」」
そうして全員が行動に移る。
「こっちだ。」
そう言うディーさんについていく。
職人街を少し外れた裏道に入っていくようであった。
「四歳ぐらいで銀髪の女の子を連れた人達を見なかったか?」
「いんや、見てないね~。
なにかあったのかい?迷子かい?」
「まあそんなところだ。
ありがとな、おばちゃん。」
こちらに戻ってくるフリッツさん。
「やっぱりダメだった。ここまで情報が無いとなると
東にはいないのかもしれないな……
まあ、とりあえず集合までの十ミニは続けていくぞ。」
依頼の解決って地道なものなんだな
と思いつつ横を見ると、見たことのある店があった。
ここは……
「ディーさん、ここの店主に聞いていってもいい?」
「ここ?……おい坊主、誰からここが店だって聞いた。」
「昨日、父とフリッツさんと来た。」
「あいつらっ。
……はあ、時間もないから追究はやめよう。
まあ、ここの店主ならもしかするとなにか掴んでるかもな。
聞いてみようか。」
僕はフリッツさんの許可を得て魔導具店の、
ネロさんの店の扉を叩いたのであった。




