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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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49 用件は緊急依頼です

「緊急依頼が発行されています。

ご協力いただけますか?」


突然、いやノックはしていたが、

練習場に入ってきたギルド職員はそう言った。


「話を聞こう。

……全員集合っ。」


全員が集まると


「それでは、説明させていただきます。」




ここでギルドの依頼形式についておさらいしておこう。

ギルドの依頼には、

通常依頼、指定/指名依頼、そして緊急依頼の三つがある。


通常依頼は読んで字のごとく、普通の依頼だ。

中には採集依頼のように年中掲示されているものもある。


指定/指名依頼は受けるパーティーをギルドが指定、

または依頼者が指名する依頼である。


そして、緊急依頼。

これは、放っておくと人命に関わったりするなど、

時間的に猶予のない内容が依頼となっている。

そのため、他の依頼は受けるパーティー数の上限が

一だったり三だったり多くても十だったりするところ、

緊急依頼には上限が無かったり、あっても二十など大きくとられている。

さらに、受けるパーティー数を確保するために

連絡のつくパーティーに招集をかけるのだ。

これにより、依頼の迅速な解決を可能にしている。


さてそんな緊急依頼だが、今回の依頼は……


「依頼内容は、さらわれた子供の保護です。

報酬は貢献度プラス解決時間に応じて決めます。

受けてくださいますか?」


「いいだろう。詳細を教えてくれ。」


「はい。探す子供の特徴は、

年齢は四歳で、身長はそこにいる男の子と同じぐらい。」


そう言って僕の方を見る職員さん。

そして、さらに続ける。


「髪の色は銀色の女の子です。」


「分かった。ここまでの経緯は?」


「十ミニ程前、その子の母親が来て、依頼をしました。

三十ミニぐらい前に西地区で三人組の男に子供を連れ去られたと。

その男達は北地区の方に逃げ、追いかけたが途中で見失ったため

ギルドに捜索依頼をだしたようです。」


「そうか。」


「現在、捜索に当たっているのは五パーティー、二十三人です。

さらに、暁の旅団さん以外にあと三パーティーに説明中です。」


「了解。それじゃあ俺たちも出る。」


「よろしくお願いします。」


ここでディーさんが僕たちの方を向いて言う。


「聞いていたとおり、俺らは行ってくるが、

そっちはどうする?

時間との勝負なだけで、気をつければ

危険なことには陥らんだろうから、

足手まといにならない限りはついてきて

もらってもいいと思っているんだが。

俺たちの動きを見て勉強してもらうためにもな。」


「僕はついていきたいけど……」


ミリアちゃんも頷いている。


「二人とも行きたいそうですし、

ディーさん達のサポートという意味でも

私がついていきたいのですが」


「メアリーさん、じゃあフーシアちゃんは私が面倒を見ておきますよ。

宿で待ってます。それと、主人達が帰ってきたら伝えておきます。」


「それじゃあ、お願いします。」


「決まったようだな、

じゃあ行くぞ。」


そして僕たちはギルドから出発したのであった。

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