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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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48 三日目は特訓です2

ギルド本部に戻ってきた僕たちは、

午前同様訓練をしていた。


「午前は拳のほうをやったからな、

午後は蹴りの訓練だ。」


「蹴りはまだ教えてもらってない。」


「そうなのか。じゃあ今日は基本だけだな。

まずは俺の動きをよく見てろよ。」


そう言うとディーさんは左足を前にして構える。

そして、目の前で右足を振り抜く。


「ちゃんと見てたか?」


「はい。」


「それじゃあ、坊主の練習を始めるぞ。

今日坊主にやってもらうのはこれだ。」


そう言うと、左足一本で立ち

腿上げのように右足の膝を曲げた状態で高く上げる。

そこから勢いよく足を伸ばして正面を蹴る。


「まずは、軸足でバランスがとれないと

どうにもならないからな。

この練習を毎日続けていくんだ。

とりあえず三十回が目標だな。

まずは片足で立て。」


言われて、左足一本で立つ。


「よし、三十セックそのまま立っていろ。」


これぐらいなら簡単にできるかなー

なんて思っていたら、十五セック程経ったころに

重心がぶれ始めた。


おっとっと、危ない危ない。

立て直してっと。


「はい、いいぞ。」


ふー、なんとか三十セック耐えられたぞ。

僕がホッとしていると、難しげな顔をしたディーさんが言う。


「うん、高望みしすぎていたか。」


「たかのぞみ?」


「ああ。坊主ならもしかしたら今日で蹴りの型まで

いけるかと思っていたんだが……」


期待に添えなくてごめんなさい……


「そんな暗い顔をするな、坊主。

四歳ならそれが普通だ。

じゃあ、さっき言った練習方法と蹴りの型はオスカーに任せるから、

バランスがとれるようになったら聞いてくれ。」


そして、ディーさんは僕を見てニヤリと笑いながら言った。


「ということで今日はバランスを崩さず片足で立てるように特訓だ。」




さて二アワ程経ったが、その間僕はずっと片足で立つ練習をしていた。

左足で三十セック立ったら五セック程インターバルを入れて、

今度は右足というのを繰り返している。

始めて一アワ経った頃からは、右足左足のセットの後に

目をつむって一セットという練習になった。


それでも途中で少しつまらなくなってきて

ちょっと蹴ってみようとする。

そんな時期が僕にもありました。

案の定バランスを崩してこけた。

そうしたら……


「誰がそんなことをしろと言った。」


と、ものすごい形相(ぎょうそう)のディーさんに注意された。

僕はコクコク頷いて練習に戻った。


そんな一幕もありつつ今は休憩。

とんでもなく足が重い。

向こうを見ると、チェルミナさんに付き添われながら

ミリアちゃんが前転の練習をしている。あれは回避練習?

さらにその向こう、壁際では母と

銀髪の女の人(テレスさんというらしい)が話し込んでいる。

反対側ではレンさんと

がたいのいい男の人(ウォーレルさんというらしい)が模擬戦をしている。


そんな光景を見ているときであった。

練習場の扉がノックされ、焦った様子のギルド職員が入ってきたのは。

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