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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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2 魔導具はおあずけです

 そうこうしていると三歳になった。

 絵本の中では魔法とか出てきたけど、実際は魔法のまの字も見かけないな。本当にこの世界に魔法はあるのかな。そう思っていた僕は今日、母に連れられて外に出た。


「ここがお母さんのお気に入りの場所よ」


 丘の上にいる僕の目の前に広がる草原。遠くには高い山々。大きな河が流れ、その上流には深い森が見える。草原では牛やヤギに似た動物が草を食べ、山のほうには羽の生えたトカゲに似た動物が飛んでいる。


「ここはアルヴ地域と言うのよ」


 母は大きく伸びをしながら言う。


「アヤトのお父さんがこの自然を守ったのよ」


「おとうさんが?」


「そうよ、お父さんは魔法研究者なの。七年くらい前にね、お隣の悪ーい領主さんがこの辺りを攻めてきたの。それを自分で作った魔導具でやっつけちゃったの。たったひとりで。お父さんがここを守ってくれなかったら、今頃はあの森もこの草原も焼け野原になっていたの」


 お父さんってすごい人だったんだ。それよりも、


「まどうぐって?」


「アヤトも三歳だし教えてあげる頃かしらね。家に帰ったら教えてあげるわ」


やっと魔法に関係しそうなものが出てきた。早く帰って魔導具を知りたい。魔法・魔法・魔導具~

 そんな僕の考えとは裏腹に母は僕を村に連れて行った。早く帰りたいのに……


「いい天気ですね、メアリーさん」


「ええ、そうですね。おはようございます、フリッツさん」


「おはようさん。坊ちゃんも元気かい?」


「……」


「あら、ごめんなさいね。さっき主人の話をしたら魔導具に興味を持ったらしいの。帰ったら教えてあげるっていったんだけどこっちに来たら不機嫌になっちゃって」


「そうか。アヤト君は三歳になったんだったかな?」


「そうなのよ。だからちょうどいい機会だと思って……」


「じゃあ、俺の店に来るのはどうだ?」


「いいんですか?」


「条例違反だが見せるぐらいなら問題ないだろう」


「うーん、アヤトがこれなら仕方ないわね、お願いします」


 僕の意図は無視して勝手に話が進んでいく。ああ、また魔導具が離れていく……




「ここが俺の店だ」


 しばらく歩いた後、立ち止まったフリッツさんはこう言った。

 あれ?ここって五歳未満は保護者同伴でも入っちゃいけないんじゃなかったっけ?初めて村を回ったとき、八百屋とか肉屋とか雑貨店とか教えられたけど、ここだけは入っちゃだめだよって言われた……と思う。魔法関連のお店がなくてショックであんまり覚えていないが。


「さ、入るわよ」


 そうして店に連れて行かれた僕が見たのは……

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