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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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26 林の中は危険です6

ザシュッ

ドサッ

ビシャッ

ドスッ

ガンッ


二人が助けを呼びに行ってから二十ミニ。

激しい攻防が続いていた。


「アヤトっ、つぎっ。」


「ちょっとペースおとして。

まにあわなくなる。」


さすがにワーウルフも水鉄砲の動揺から復帰して、

勢いを取り戻していた。

敵はやはりギームに狙いを集中させているらしく、

後衛の僕たちの手が回らなくなると

ギームの手に余る数が集まってしまう。


「……またたくさんきた。」


今回は三匹で跳びかかってきた。

ギームは歯を食いしばりながらも

一匹一匹的確に対処していく。

そこをギームのすぐ後ろからアレフが順に撃っていく。

距離が近いため、アレフは水を節約し一本で三発撃っている。


「ギーム、すごいな。」


「あいつは、いっさいのころから、たてのあつかいを

とうさんにならってるらしいぞ。」


騎士だっていうギームのお父さんか。

僕はアレフに水鉄砲を渡しながら考える。

すると、ギームから声がかかる。


「まずいっ、つぎは、ごひきだっ。

とりあえず、にひきっ、おとしてっ。」


アレフが一匹戦闘不能にするも、今回は遠かったせいか、

もう一匹の方は外してしまう。


「アヤトっ、頼む。」


アレフは、もう一匹の対処を僕に任せて、水の補充に走って行く。

自分の持っていた水鉄砲でさらに二匹の目を撃つ。

これで、僕の持っていた方も空になる。

そして、ギームが二匹の攻撃を止める。

僕がミリアちゃんのところに戻ると、

アレフの補充がもう少しで完了するところだった。

しかし、


「またきたっ。」


先ほどの二匹を止めていたギームのところに、

もう二匹のワーウルフが襲いかかってきた。


間に合わないっ。


そう思ったとき、背後から石が飛んできて一匹の顔に命中した。

もう一匹はギームがなんとか止めた。


「おまえら、大丈夫……そうではないな。だが、すまん。耐えてくれ。

もう五ミニぐらいの辛抱(しんぼう)だ。」


どうやらディーさんが援護のために蹴った石らしい。

あの人すごいな。

そう思っていると、アレフの補充が完了し、

彼はギームの方に走っていった。


「ミリアちゃんもだいじょうぶ?」


「だ…いじょうぶ。でも……」


ミリアちゃんが指さす方を見ると、

あれだけたくさん準備し、途中でミリアちゃんが

補充していたはずのカサビが切れかけていた。

あと、五ミニ持つかどうかあやしいところだな。


「アレフ、もっとせつやくできるか?」


「もうむりっ。」


やはり無理そうだ。

とりあえずは、僕がカサビの補充に行こう。

そうした場合……


「アレフっ、ぼくはカサビのほじゅうをする。

みずのほじゅうはじぶんでいってくれ、たのむ。」


「りょうかい。」


ついに長篠の戦い作戦も使えなくなり、

もともとギリギリな戦いが、さらにつらいものになってしまった。


なんとか耐えて、五ミニ。

往復の時間を考えるとそろそろ応援が来てもいい頃に……


「あ…アヤトくん。」


「わかってるっ。」


ついにカサビの残りが無くなってしまったのであった。

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