20 林の中は危険です2
ミリアちゃんが男に捕まり、
なにも出来ない僕たちの前に、
一匹のオオカミに似た動物が現れた。
「お…おまえは。」
男はうろたえる。
一体この動物は?
「おいっ……おまえらも逃げた方がいい。あれは、ワーウルフだ。」
男は僕たちにそう言って、ミリアちゃんの腕を掴んだまま逃げだす。
「おい、まて。」
そうアレフが言い、僕たちは男を追いかける。
ワーウルフも僕たちの後ろを走ってくる。
こいつは僕たちを助けてくれているのか?
それから五ミニ程走った男は、
沢のあるあたりで急に立ち止まった。
テントが建っている。
「戻ってきたはいいが……囲まれたか。」
僕たちは男に追いつく。
「ミリアをかえせ。」
アレフが男にそう言った瞬間、
「坊主っ、うしろっ。」
ワーウルフが……
アレフに襲いかかろうとしていた。
「くそっ、間に合えよっ。」
男は剣を両手に持ってアレフの方に突っ込む。
僕たちは目をつむる。
ズシャッ、と肉を裂き、骨を断つ音が聞こえた。
おそるおそる目を開けると、
首が飛ばされたワーウルフが転がっている。
あの男がアレフを助けた?
あいつは犯罪者じゃなかったのか?
ワーウルフがこっちに注意を向けているうちに、
逃げられただろうに。
僕達が混乱していると、
「おまえら、ボーッと突っ立ってるんじゃない。」
男が言う。
ここでビートが再起動を果たし、
男と話を始めた。
「あのどうぶつは?」
「ワーウルフっていう魔物だ。」
「まものですか。」
「ああ、あいつらはやばい。
訳あってここで寝泊まりしていたんだけれど、
仲間のうち、三人がやられてしまった。もうひとり元気なやつが守っているが。
俺は、薬草を集めていたんだ。」
男はそう言うと、テントに声をかけた。
「レン、緊急事態プラスアルファだ。」
すると、テントの中から十五、六歳の少年が出てきた。
「なに、ディーさん。」
「手短に言うぞ。緊急事態の方は、ここが奴らに囲まれたこと。多分、百はいる。
プラスアルファはそこの子供達に見つかって、つい人質を取ってしまったこと。」
「なるほど。二人だと一アワが限界ですね。そこの子達はどうします?」
「逃がしてやりたい。この際、情報が伝わっても仕方ないだろう。
けれど、突破出来るか?」
「僕でも一人だけなら守って逃げることは出来そうですが……」
ガサガサガサ。
「もうお出ましか。レン、とりあえず戦闘準備だ。」
二人は僕たちを挟むようにして立ち、
それぞれ武器を持って藪を睨む。
ワーウルフの群れが現れ、僕たちを囲んだ。
そして、魔物との戦いが始まるのであった。
いつもありがとうございます。
なんとか3日間、投稿失敗せずに済みました。
それと、報告が遅れましたが、3000pv突破しました。
これからもよろしくお願いします。




