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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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19 林の中は危険です1

休憩中、薬草を観察していたミリアちゃんは……

いきなり現れた男に捕まった。


「ミリアちゃんっ。」


僕は叫ぶ。

アレフが男の方に走り出そうとするが、


「そこを、しばらく動かないでくれ。

俺もこの子をあまり傷つけたくない。」


と言われ、動けなくなる。

ミリアちゃんは足の力が抜けて動けないようだ。


どうする。

どうしたら、ミリアちゃんを助けられる。

考えても何も思いつかない。


「大丈夫だ。やることを終えたらすぐに解放する。

ああ、ただし、村の人には絶対に言わないって約束してくれたらだが。」


そう言って男は笑顔を向けてくる。


なんだ、いったい、こいつは?

人質を取っておいて笑う?

かなり危険なやつじゃないのか。

くっ、ミリアちゃんが。


傾いた太陽の光が男のところに射して、腰の辺りが光る。

そこには二本の剣が差さっていた。


双剣?

僕の頭に昼間ギルド掲示板でみた情報が浮かぶ。

「リーダーは二十代で双剣使い……」

ビートも気付いたようで


「し…しめいてはいはん。」


とつぶやいている。


ギームもさすがに起きていて、男をにらんでいる。


木々がざわめく。


ふいに、男は木の方を向いてしゃがんだ。


「これで……」


ブツブツなにかをつぶやきだした。


「いまだっ。」


と、またアレフが駆け出そうとするが、


「そこを動かないでって言ったよな。」


後ろを向いたままの男にそう言われ、足を止める。


緊張した時が流れる。


僕の頭はミリアちゃんを助ける方法を必死で探すが、

なにひとつとして出てこない。


くそっ、こんな時、父みたいに身体強化とか、魔力放出とか使えたら。

自分の非力さにくちびるをかむ。


何も出来ない悔しさに、僕たち全員の顔が歪んでいた。


だれか、なにか、この状況を変えるものを。


いくらでも神に祈ってやる、ミリアちゃんを助けられるのなら。


悪魔とだって契約してもいい、ミリアちゃんを助けるためなら。


そんな思考が浮かんでくる。


そのときだった、





一匹のオオカミが僕たちの目の前に姿を現したのは。

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