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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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17 家の周りは林です

ミリアちゃん

アレフ

ビート

ギーム

この五人で村を回ることにした僕らは、

八百屋と肉屋で恒例のケン……商売合戦を見たり、

雑貨屋を見てみたりしていた。


「あれはなんだろう?」


ビートがふと右の道を指さして言う。

そちらを見ると、何やら人だかりができている。

どうやらギルドの入り口あたりに集まっているようだ。


「どうしたんですか?」


「なんか騎士団の奴らが来ててな。」


どうやら、むこうの世界の軍と警察の役割を兼ね備えた騎士団が来ているらしい。

しばらく見ていると、ギルドの掲示板に何か張り出された。


~指名手配~

下記の人物の目撃情報求む。

発見したものは騎士団員、またはギルド支部まで申し出るように。


こんな文言のあとに、五人の特徴が書かれていた。

ふ~ん、リーダーは二十代で双剣使いか……


そんな情報を手に入れて、僕たちは中央広場に戻ってきた。


「さて、これでむらはほとんどまわったけど、これからどうする?」


みんなで考えていると、ミリアちゃんが耳打ちをしてきた。

うん……うん……

中には入れないけどいいの?

コクリ。


「ふたりでどうしたんだ?」


アレフが聞いてきた。


「ミリアちゃんがぼくのいえのほうにいってみたいんだって。」


「そういえばおれたちもいったことないな。いくか?」


「なかには、はいれないよ。それでもいいの?」


「おれはいいけど、じゃあ、いきたいひと、てをあげて。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


二十ミニ後、僕たちはフォンターニュ家の前にいた。


控えめに手を上げるミリアちゃんとか、

疲れて休むミリアちゃんとか可愛かったなぁ。


アレフが聞いてくる。


「ここが?」


「そう、ぼくのいえ。」


「けっこうおおきいな。」


暮らしていると感じなかったが、他の家に比べて確かに大きいんだな。


「ここにいてもしかたないし、まわりのはやしにいく?」


そう言うと、みんな賛成した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


林の中は広葉樹が多く薄暗い。

そのおかげか、ほどよく涼しい。

腐葉土と木の香りが漂ってくる。


風で木の葉がこすれ合う音、鳥の声、

遠くからせせらぎの音などが聞こえてくる。

地面には様々な形の植物やキノコ、木の根が張り、

木の幹には苔やツタ、昆虫がみられる。

上を見上げれば、木漏れ日が美しい。


あっ、あそこにはあっちの世界の

わさびみたいな形の植物も生えてる。


「あれは、たべられるぞ。かなりからいってきくけど。」


どんな植物なのかビートに聞くと、そう答える。

本当にわさびみたいだな。


しばらく進んで、少しひらけたところに出る。

そこで、休憩がてら話をする。


「アヤトのいえのちかくってこんなふうなんだな。」


「まあ、そうだね。これといってたのしいところはないけど。」


アレフの言葉に応え、ミリアちゃんに聞く。


「ミリアちゃんはだいじょうぶ?つかれてない?」


「……ちょっと。でも……だいじょうぶ。」


ここでビートがミリアちゃんの持ち物の一つを指さして尋ねる。


「そういえば、ミリアちゃん。そのはこみたいなのは?」


はこ?ああ、あれか。

端子にダイヤルに……

って、あれはっ。


「……おまもり……がわりのまど――」


「アレフたちはちょっとまってて。」


ここで僕は彼女の口をふさいで三人からちょっと離れる。


「ミリアちゃん、それまどうぐだよね。どうしてもってるの?」


「……おとうさんが……もっていけって。だっすい?にならないようにって。

おとうさん、ちょうせいしてくれたから……ほら、つかえるよ。」


そう言って、彼女は魔導具で作り出した水を水筒の中に入れる。


「えっと、きそくは?」


「きそく?」


「ほんとうは、ごさいまで、つかっちゃだめなはずなんだけど。」


「そう……なの?」


「そう、だからほかのひとにまどうぐのことおしえちゃだめだよ。」


「……うん、わかった。」


ミリアちゃんが頷くのを見ながら、。


フリッツさん、娘に甘過ぎでしょっ。

僕の入店はあんなに拒んだくせにっ。


僕は心のなかで絶叫するのであった。

事情により今日から3日間投稿時間が13:00になるかもしれません。

もしそうなったら、「ああ、やらかしたんだな。」と生暖かい目でもいいので、

見守ってやってください。

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