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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
二章 アヤトは学生です
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132 正体は情報屋です

「さて、気づかれてしまったからには、というか気づかせてしまったからには仕方ないね。何か質問はあるかい?」


「……ネロさんは一体どこからどこまで知っているんですか?」


「どこからっていうと、まあアヤト君たちが連れていかれてから何をしていたかとか、今の……いや一月前までの所属とかのことかな?」


「――っ」


 ネロの言葉に一層目を鋭くするアヤト達。そんな彼らを前にネロは微笑を浮かべたままだ。


「まあまあ、身構えなさんな。これでもあたし情報屋みたいなこともやっててね。魔導具店ってことでいろんな筋から情報が入るんだよ」


 ネロが情報屋。それを聞いたアヤトの眉がピクリと動く。


「それで、三師団の――」


 その時、カランと入り口のベルが鳴り誰かが入ってくる。


「邪魔するぜ。なんか店の外に坊主が立ち尽くしてたがなんかあったか?」


 入るなり尋ねる男は赤い鎧をつけている。アヤトにはその姿に見覚えがあって。


「あれ? リベルトさん?」


「おっ、女坊主じゃねえか。久しぶりだな」


「だから、女坊主って呼ば――」


「丁度良かったわ。リベルトさん、この子達に私の立場を説明してくれない?」


「ああ? 魔導具店の店主兼情報屋だろ」


「……表向きのじゃなくて、三師団との関係を説明して欲しかったのだけれど」


「ああ、そういうことかよ。それなら最初からちゃんとそう言えよ」


 アヤトの文句を遮って会話するネロとリベルト。二人のどこか気心の知れたやり取りに、アヤトとミリアは首をかしげる。ルーシェは変わらずネロを睨んでいた。彼らがネロに対して警戒するような態度をとっていたところから見ていたリベルトは何か理解したようにうなずいた。


「なるほど。さてはネロ、こいつらに何も説明しないままに機密情報知っていることをばらしたんだな」


「ええ、そんなところ……」


「はぁ……女坊主たち、案ずんな。この無駄に思わせぶりな態度をとる女は、三師団の協力者だ。公都付近の情報収集と、魔導具関連のサポートをしてもらっている」


「どうも、ヴァリア公国騎士団第三師団外部協力者のネロです。外部協力者ってことで会いには行けなかったけれど、アヤト君たちが三師団に入ったことは聞いていたよ。高等学校に通うから今は一時退団してるってこともね」


 ネロ自身の説明とリベルトによる保証でようやく納得した様子の三人。ホッと一息つくとアヤトは口をとがらせて言った。


「でもネロさん、先に言ってくださいよ。ほんと心臓に悪いじゃないですか」


「心臓に悪い? なんだいそれは」


「またアヤトの独特な言い回しね。ネロさん、気にしなくていいから」


「独特って……」


 やはり通じぬ慣用句。アヤトは苦笑する。そんな彼らにリベルトさんが口を挟んだ。


「情報共有に移るか。お前らも、いいタイミングだし参加しとけ」

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