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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
二章 アヤトは学生です
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123 作戦は成功?です2

 アデクの声に割り込まれた三人は、彼をまじまじとみる。そして――


「まさか……アデク?」


「嘘だろ? あの、うちの村嫌な奴の代表格?」


「ああ、もしかしてあの小物かしら。アヤトに突っかかってた」


 三人が口々に発したのはほんの少しだけの驚きと、そんなさんざんな評価。


「おい、アデク。お前そんな奴だったのか」


 それを聞いて目の温度が下がる隊長。


「そんな奴って隊長も大概だったって聞いてるんですが……」


 隊長に呆れた目線を向ける副隊長。

 そんなこんなで醸造された謎の空気に、ただただうろたえるアデク。


「あれ? お前らがいるってことはまさか」


 アデクは何かに気づき急に動きを止める。そしてその顔を入り口の方に向ける。すると、


「どうも、こんにちは。」


「……お邪魔します」


 入ってきたのは隊員をぞろぞろと連れた、灰髪を長く伸ばした生徒と亜麻色髪の少女だった。






「確認するけど、お前アヤトだよな」


「ええ、そうですけど。って君誰? なんで僕の名前知ってるの?」


「えーっと、覚えてないか。その……アデクなんだが」


「えっ。あの乱暴者の?」


「お前もやっぱりそういう反応かよ。それで、なんでお前そんな女みたいな格好なんだ? 五年の間に何があった」


 アデクに聞かれたアヤトはがっくりと肩を落として言う。


「聞かないでくれ…… いろいろあったんだよ。それにそんな格好って言っても、ちゃんと男子制服は着ているじゃないか」


「ああ、完全に男装した女子高等学校生っていう風体だがな」


 アヤトは膝を抱えてうずくまる。「もうそろそろ男っぽくなってもいいでしょ。なんで、顔立ちもこんなままなんだ。この髪も師団の決定のせいだし……」とブツブツ呟いている。心なしか彼の顔がやつれているように見える。その肩をポンポンと叩いて励ます亜麻色髪の少女。アデクが確認したところ、やはりこの少女の名前はミリアだった。

 アデクがそんな二人を眺めていると、隊長とルーシェの話し合いは終わったようで、隊長から隊員に整列の合図がかかる。


「みんな集まったな。じゃあ紹介しよう。こいつらが今年入隊するっていう六人だ。朝、ジムネコーチから聞いた良い知らせってのもこの六人が入隊するってやつだった。作戦で他の奴が釣れなかったのは残念ではある。けど、分かったよな。こいつら強いぞ。皆、こいつらに負けないよう、励んでいくように。それじゃあ、それぞれ自己紹――」


 言いかけてアヤトたちの方を見た隊長は疑問の声を上げる。


「おい、ルーシェと言ったか。六人が入隊するって言ったよな」


「はい。そうですね」


「ここに、五人しかいないのは?」


 アヤトたちの間で気の抜けたような笑いが上がる。そして、アヤトが代表して口を開いた。


「多分まだ教室で寝てますよ。というか起きてたら緊急事態発生してますね」


 何言ってんだこいつ、とでも言いたげな隊長の白い目をアヤトは流しつつ言う。


「六人の中で最硬の前衛なんですが、まあ起こしてきますよ」


「はあ。んじゃ頼む」


「分かりました。とは言っても最悪運ばないといけないし、こんなところで強化なんて使うのも調整が面倒だから……アレフも来て」


 そう言うと早速部屋を出ていく二人。残された三人と維持隊のメンバーは暇を持て余すようにだべっている。隊員の目がちらちらルーシェとミリアへと動き出したのを見て、隊長がルーシェに提案をしたのだった。


「なあ、後で模擬戦しないか? こいつらの喝になったりするかもしれんし」

や ら か し た


寝不足による疲れからか前話から隊長・副隊長が、団長・副団長になっていました。

混乱させてしまい、誠にすみませんでした。

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