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魔法使いは理系です  作者: 山石竜史
一章 アヤトは成長中です
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10 おつかいは楽しいです3

手持ち無沙汰になってしまった僕はとりあえず、中央広場にやってきた。

ここには噴水があり、人気(ひとけ)が多い。

機械もないのにどうやって噴水が?と思うかもしれない。

そこは魔法の力で……と言いたいところだが、この噴水は元々自噴井戸らしい。

だから、飲むことも出来る。

そこで、のどを潤していると


「あ、アヤトだ。おーい、きょうはあそんでいくかー?」


という声が聞こえた。

そちらを見ると、三人の男児がいる。

こいつらはいつも仲良し同い年三人組で、名前は左から順に

アレフ、ビート、ギームである。


三人組のリーダー、アレフは活発でよく声をかけてくる。

さっき呼びかけてきたのも彼だ。


「ひまだし、あそぼう。」


僕はそう答えつつ、隣のビートを見る。

彼は落ち着いていて、三人の内で最も頭がいい……らしい。

同い年で三歳だからなんとも言えないが。

噂では、もう初等学校三年の勉強をしてるとかしてないとか……


「いいぞ。で、なにをする。」


ビートがそう言って、ギームの方をみるが……


「……zzz」


「「「……」」」


こ…こいつ、寝ていやがるぞ。立ったまま寝ているだと。


そう、三人組の最後、ギームはとにかくよく寝るのだ。

こっちが気を抜くといつの間にか寝ている。

この前なんか、みんなで木登りをしていた時、幹をのぼっている間に中間ぐらいで寝てたんだぞ。信じられるか?

あいつ、よく落ちなかったな…


アレフがギームの背後に立って、頭にチョップをかました。


「……はっ。ぼくはやつをたおさなければ。あいつはどこへいった?」


「どんなゆめ、みてたんだよ。」


アレフはハァ~とため息をついた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


くっ、このままじゃやられちまう。

あいつの(かたき)は僕がとってやる。

僕は物陰から奴らの様子をうかがう。

二人の足下には友達が転がっている。

意識はないようだ。

どうにかして、あの二人の隙を突かないと。

……

……

……

あれっ?一人しか居ない。

もう一人はいったいどこへ行った?

まずい、まずい、まずい。

僕の額から汗が流れる。


「よぉ。ざんねんだったな。」


そんな声が背後から聞こえてきて、

振り向こうとした僕は、

相手の姿を見ることもできずに、




撃たれてしまった。




周囲に液体が飛び散る。


あぁ、これで終わりか……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はい、これでおれたちのごれんしょー」


「いぎをもうしたてる。」


「なに?」


「ぼくのチームメイトがいつもギームっていうのはおかしい。」


「いいや、しんせいなる、ジャンケンのけっかだ。」


「クゥゥゥ」


僕らが一体何をしていたかと言うと、何のことはない。

ただの水鉄砲遊びだ。

水鉄砲とはいっても昔ながらの木で出来たようなあれだ。


ルールは簡単。

一 撃たれたら脱落。

二 村の外に出たら脱落。

三 水を入れていいのは中央広場にある噴水でだけ。

二つのチームに分かれて戦って、

相手チームを全滅させれば勝利。


……なのだが、ギームと組むと十中八九負ける。

皆さん理由はお分かりだろう。

……奴は、寝るんだ。

敵が目の前に居たとしても。


「ダァァ、くみをかえさせろー」


神聖なるジャンケンの結果、次の僕の相棒は

……またしても、ギームなのであった………

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