召喚士カンナ
今、私は夢を見てるんだ。またこんな夢だ。
「柑菜さんに持たせましょう。持ってくれるんでしょう?柑菜さんは優しいから」
「う、うん。」
あなたたちは何もわかってないのよ。あーこんな夢は早くさめてほしい、
「柑菜ちゃんがいいと思います!優しいし、」
「そうですね。それじゃあ柑菜さんに決まりです」
本当に…
「朝ですよー柑菜さん」
あ、優奈おばさんの声が聞こえる。起きなきゃ。
「は、はっ、ん、おはようございます。おばさん」
窓からの木漏れ日が眩しいです。優奈おばさん、そんな一気にカーテンを開けなくてもいいんじゃないんですか。
「柑菜さん、おばさんはメッですよ。お姉さんと呼んでくださいっていつも言っているじゃないですか」
「えへへ、ごめんなさい。間違えました。お姉さん。」
こうして私の1日は始まります。孤児院の当番で朝ごはんを作る為に早起きをしなきゃいけない時もあるけど、優奈おば、お姉さんがよく面倒をみてくれるから寝坊しても大丈夫なんだ。
「さあ、皆さん。今日も美味しい朝ごはんでしたね。さあ学校にいってらっしゃい。」
「「行ってきます!」」
学校かあ。どうしようかな。
「柑菜さんはすこし私と話しましょうか?」
「ゲッ」
「女の子がゲッとか言わないの!それで柑菜さんは今日どうするんですか?」
「図書館にいこうかと思っています。昨日なんか変な洋書を見つけてそれを借りて来たいなあって」
「ジー」
「ジー」
「わかりました。若くて美しくて優しいお姉さんは条件付きで柑菜を許しましょう。今度のテストで100点を取れるというならいいでしょう。」
「うん、わかった。今度も大丈夫だよ。ありがとうございます。お姉さん。」
「はー、そういう所があるなら学校でも不自由なくいられるとお姉さんは思うんですが…って、いないし。」
こうしたやりとりはいつもの事。優奈おば、お姉さんにはいつも感謝しています。
「あ、あった。ってゲボっゲボ埃すご!」
これこれ、みるからに怪しい本だぁ。どんな文字で書かれているんだろう?見た目からじゃわからないし、読むのが楽しみです。受付のおばあちゃんのところに行きます。
「おばあちゃん、この本借ります!」
「ありゃ、柑菜ちゃんこれ、借りていくのかい?」
「は、はい?」
なんだろう。
「そうかい、こりゃあね、すごい貴重な本なんだよ。なんたってあの魔女狩りの頃の本でね、魔法の本だなんて言われてねー。まあ埃が被ってるのでわかるだろうけど最近は誰も借りなくてねー。あ、ごめんねー、はい。登録したよ。一週間以内に返しに来てね。」
「は、はあ。ありがとうございました」
おばさんは相変わらず本が好きなんだね。魔法の本かー確かにそれっぽい。どんな本なんだろう。本当に楽しみ。
孤児院近くの公園に来ました。お昼時はこの公園にいる人なんていないから私の絶好の読書スポットです。
どんな本なんだろなぁ、ペラリ
「キャ!な、なに?」
本をめくると突然黒い煙がもくもくと本の中からでてきました。なんだか嫌な予感がします。
「ギャオギャオ!」
黒い煙がだんだんと形を作ってなんと虎の形になりました。虎を醜くした…
「ば、化け物⁉︎」
そ、そんな、本みたいなことが目の前でおこるなんて…
「ギャオ!ギャオ!」
「きゃあ!」
虎は私を睨んで吠えてきます。いつ飛びかかってくるか…あ、足が動きません。
「きて早々こんなにもすごい魔力を持つ人間に出会えるとは僥倖僥倖。」
ドゴオォォン
「キャッ、な、なに?」
またも本の中から何かがでてきました。すごく速くて一瞬で虎に向かって行ったと思えばあたりは砂煙のせいでなにが起きたのかわかりません。
「ギャオオォ…」
「すみません、砂埃をあげてしまいました。服が汚れたりしていませんか?お嬢さん。」
目の前にはスーツのような物きた。20台ぐらいのお兄さんが立っていました。でもなにか妖しげな雰囲気です!虎もどきはなんだか弱っているように見えますが…
「は、はい。大丈夫ですけど…あ、危ない!」
弱った風を装っていた虎モドキがこちらを向いていたお兄さん?に襲いかかってきました。
「どうかしましたか?お嬢さん。」
お兄さんは後ろを振り向きもせずに虎を弾き返しました。
「お、おお、カッコイイ! 」
思わず口にでてしまいました。
「ありがとうございます。お嬢さん。危ないですので、すこし後ろに下がっていて…うっ! 」
突然、お兄さんが苦しみだしました! 体から煙を出し始め段々と小さくなっていきます。
「お嬢さんはいますぐ逃げなさい‼︎」
なんとお兄さんが私の掌に乗るぐらいに小さくなってしまいました。
「で、でもお兄さんは?」
逃げろと言われて逃げられたら今ここにはいません。お兄さんが来た時点で逃げてます。足が動きません。
「私は大丈夫ですからはやく!」
「ギャオ!ギャオ! gyoooo‼︎ 」
「仕留めそこなったようですね。こうなったら…そこのお嬢さん!名前は?」
お兄さんが浮遊して私の近くまで飛んできました。
「キャ!な、なんですか⁉︎ 藤宮柑菜ですけど…」
突然顔の前に来たらびっくりします。
「私と契約をしましょう。じゃないと君はここであの虎に食い殺される。君にはどうやら凄まじい魔力があるようだ、きっとあいつを倒せる。」
「は、はい? 」
け、契約? ま、まさかこのお兄さんは悪魔? 魔法の本とか言っていたし…
「混乱するのはわかります動揺もしてるでしょう。しかし、虎を倒す力が君にはある。虎に食い殺されるか契約するかの二択なんだよ? 」
「貴方が悪魔みたいで怖いですが…契約します! 」
「それじゃあ契約成立です。君はいまから召喚士、召喚士カンナ! 伝説の魔石トワイライトストーンを取り返すまで召喚士としてその力を振るってください!」
突然私の周りを魔法陣みたいな物が囲んでいきます。すると私の服が消えました。でも私の体をなにかブルーのオーラみたいな物が包み裸にならずに済んでいます。
「きゃ、な、なに?この格好⁉︎ ブルーで…この杖?こ、これが召喚士…」
魔法陣が消えると、私の着ていた服は消えて格好が…
アニメにでてくる魔法使いみたいな格好になっています!なんですかこの青いローブは?
お兄さんが私に叫びます
「わたしがあの虎の注意をひきます。召喚士カンナ、あの虎もどきを一緒に倒しましょう!」
あ、悪魔怖い…シクシク確かに世間ではそうでしょうけど、あんな少女に怖がられるだなんてシクシク