新道 貴史 アナザーa52ポイント 突撃兵 第325歩兵連隊
緑生い茂る美しい星アナザー、
これが、俺が入隊する時に聞いた謳い文句だ。
だが実際は硝煙と同僚の死体、あとは、現地生物の死体。
美しかった星は今や、死と憎しみにより、覆われている。
『おい、新道、今日は敵の巣に夜襲を仕掛ける。お前んとこの小隊が、一番槍だ。』
薄暗い密室の中、2人の男が向き合っている。
機械連隊は先週全滅した。つまり、一番槍もなにも、うちの小隊しか、この第82セクター基地にいない。
そんな状況下で楽しいピクニックを命じたのは、新井大佐。
ハゲでデブ、立派なのは、頭のテカリ具合だけだ。
『イエッサー、しかし他の基地からの応援はあるのでしょうか?』
無いのはわかってる。資源を欲してのこの戦争は相手、もしくは自分達が全滅するまで続くだろう…,
敵兵は徹底的なゲリラ戦を展開。
前線と、後方が、混在している現在。
どの基地も犠牲者が多く、ウチの先月全滅した機械化連隊に、補充兵が、来ていない時点で終わってる。
『何を、言うか新道軍曹。貴君らの地球を愛する心とわが連合軍への忠誠心によって、敵兵など粉砕してしまうだろう。』
忠誠心や、愛国心とやらが作戦会議で叫ばれるようになってから負けが続いているのを理解しているのだろうか?
忠誠心や愛国心で、敵兵を皆殺しにできるなら、俺は寝る間も惜しまず祈っているだろう。
しかし、愛国心やら忠誠心やら持っているやつがまず死んでいく。
終わってるんだ。この戦争は、最初から…
『一人欠員が出ています。新井大尉もともに出撃していただけませんか?』
『何を言っている。私はこの基地を守る使命がある。貴君らの武運を祈る。』
くそったれ。