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待っていたもの

降り始めた雨の中…。

転がり込むようにして躍り出た鳥居の先に俺を待っていたものは…。

………。

……。

…。

…薄っすらと蒼白い光りを放ち浮かぶ、七夕のときに願い事を書く短冊のような大きさの六枚の紙切れ…で。

その六枚の紙切れに等間隔に、そして円筒状に取り囲まれるようにして、その中央で。

右手が異形化してしまった雨宮 凛その人が、こちらに背を向け、まるではりつけにされたかのように、金縛りに掛かったかのように、身動き一つせずに…。

…。

俺は…その場で雨に打たれ、呆然として佇みながらも。

目の前に広がる不思議なこの光景に、どうすればいいのかが全く分からずに…。

それでも…必死に目を凝らし、観察するようにして雨宮のその後ろ姿を見つめ、何とか少しでもそこから情報を得ようと努力してみれば…。

雨宮の周囲を等間隔に、円筒状に取り囲む蒼白い光りを発する短冊のような大きさのその六枚の紙切れは…。

その一枚一枚がそれぞれ起点となり、まるでそれらを結び繋ぎ合わせるかのようにして…薄い、やはり蒼白い光りを発する線でお互いにお互い同士が結ばれ繋がって…おり。

しかも、それらの紙切れ一枚一枚を結び繋ぎ合わせるようにして出来上がった…その線のずっと下、つまり雨宮の足下、その地面の上には…。

その六枚の紙切れのうちのそれぞれ三枚ずつで、これまた結び繋ぎ合わされた二つの正三角形が…上下逆に重ね合わさったかのような、新たな図形をさらに形作っており。

その重ね合わさったかのような図形は、地面の上でぼんやりと明滅するかのようにして浮かび上がっては消えて…を繰り返し続けて、いる…。

…俺は考えを巡らすように


六枚の紙切れのうちのそれぞれ三枚ずつを結び繋げ合わせるようにして出来上がった、二つの…正三角形。

それを上下逆に…重ね合わせるかのようにして出来上がっている…あの、図形。

雨宮の足下に、地面の上に浮かび上がっている…あれは、あの図形は、確か…。

確かよくテレビゲームとかの中で見掛けた…。

…何て、言ったけかな。

チョ◯ボ…高速移動もお手のもの、ダチョウに良く似た黄色く頼れる我らが相棒!…いや、違うな。

ケロ◯グ…いやいや、それは栄養豊富なシリアルで…。

クロック…う~ん、違う上に英語で単なる時計を意味する言葉だし。

ロック!…違う、違う、それは音楽の種類だぞ。

ロックボ…うん?近い??そう確か…テレビゲームの中では悪党キャラがよくモンスターなんかを召喚するときに使う図形、そうだ、あれだ、もう…少し、思い出せ、思い出すんだ、俺!

ロックボ、ロックボウ、ろっくぼう…。

…!?

…ろくぼう?

…!!

そうだ! “六芒星ろくぼうせい” だ!!


雨宮の周囲で等間隔に…円筒状に浮かぶ六枚の紙切れ一枚一枚を…結び、繋ぎ合わせている蒼白い光りの線が…まるで “檻” そのものであるかのように…。

その足下で明滅を繰り返す六芒星の中央で…まるで磔のように、金縛りに掛かったかのように、硬直して動かない…いや、おそらくは動けないのであろう、雨宮 凛のその後ろ姿を。

…俺が何とかそのバカな脳味噌をフル稼働させ考えを巡らせ、その地面の上に浮かび上がった図形を見て…その名称の回答に辿り着いた、まさにそのとき。

そんな雨宮の先、その向こう側で。

…。

右手が異形化してしまったそんな孫娘と三~四メートルほどの距離を取り、それと対峙するようにして。

境内に背を向け、白髪のそれを後ろ頭で結び束ねた神主服姿のじいさんが…そう、雨宮 凛のじいさんその人が。

その左手の人差し指と中指、そして親指を…胸の前でピンッと拝むようにして立て。

右手には…手のひらの上に包み込むようにして小さな壺を乗せ、持ちながら。

その両の眼を閉じ、何かを必死に念じている姿が…そんな姿が、俺の視線の片隅に映し出されて…。

じいさんのその姿を見た瞬間に、俺は


“再、封印?…じゃあこれは、そのための…結界?”


すぐさま浮かんできたその言葉に、どうしていいのか、分から…ない。

…それでも、無我夢中で訳も分からないまま、身体が勝手に。


“このまま雨宮 凛を失いたくは、ない…”


ただそれだけを一心に…。

…雨脚が少し強まってきたそんな中。

薄っすらと蒼白い光りを放ち浮かぶ六枚の紙切れに周囲を取り囲まれ、足下でぼんやりと明滅を繰り返す六芒星の中央で、磔になったかのように、金縛りに掛かったかのように、動かないでいる雨宮 凛の…おそらく、じいさんが張ったのであろう…結界の、その横を走り抜けながら…


「やめろ!じいさん!!そんなことをしたら…再封印をしたら…雨宮が、凛が消滅しちまう!…やめろ!!」


…そう必死に叫んで。

そのまま…自分の身の危険も顧みず、じいさんと雨宮 凛の間に割り込むようにして…強引にその間に立ち入ると。

じいさんのその術から、背後にいる未来の俺の花嫁候補、雨宮 凛を守るかのようにして、自身の両腕を…手のひらを…大きく大きく広げて見せた。

読者の皆さんへ


最終投稿日から、既に、四年…(ゴーン)。

忘れていた訳ではないんです、気にはなっていたんです、でも色々と諸事情が…(言い訳)。


サイトの使い方をほぼほぼ忘れてしまっていますが、昔の勘を頼りに僭越ながら一話分だけを投稿したいと思います(「…なんだよ、四年越しの投稿がたった一話分かよ!」とは仰らずに生暖かい眼差しで見守ってくださると助かります)。


こんなに時間が経っているのに、いつも拙い文章を読んで下さって、本当にありがとうございます。

大変申し訳ないことに、今現在、再会の目処は立ってはいないのですが、怪しく不定期にひょっこりとそのときがやって来ましたのならば、今までのように目を通し、再び応援して下さると嬉しく思います。

情けないことながら、よろしくお願い致します。


なんとか生きていました…の作者より

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