石段再び
「土屋くん!あたし達も急ぐわよ!!」
「待って下さいぃ~、ハァハァ…」
美沙と摸のそんな声を背に…俺は、自身の能力である風の能力を両足にそっと付与し、韋駄天の如く雨宮神社へと続く…長い長い石段を登り始めて…いた。
…。
俺達が摸にナビゲートされて石段の袂に到着したときに見た、雨宮神社全体をドーム状に包み込む蒼白い大きな光りと、それとほぼ同時に聞こえた
“グオッ~~~!!”
…という獣の咆哮にも似たような叫び声。
…。
俺は…そこに、その場にいるであろう雨宮のことを想い…そして、自身に納得し、後悔しないためにも。
一刻も早くその場に辿り着こうと、さらにその足の歩みを早め、急ぎ…登る。
…。
…もっと、早く!
もっと、もっと早く…だ!!
風のその能力が途切れないように集中しながら…。
刻々と近づく雨宮神社への入口。
昨日の夕方…訪れ潜り抜けた、石で出来た古く大きなその鳥居に。
…。
もう…少し。
あと少しで、辿り…着け…る!
そう思った、次の瞬間。
今まで雲の隙間から差し込んでいた月の光りが、まるで意地悪をするかのように再びその中へ隠れ込んでしまい…。
…それと同時に、ポツリ ポツリ、と。
髪に、頬に、肩に。
冷たい水の粒が当たっては弾け、流れ落ちて…ゆく。
…。
雨が…降って…きたのか。
泣き始めた空に。
俺は…目の中に入りそうになったその一粒を、手の甲で拭いながら…。
月の光りが失われ、まるで闇への入口のように…そこに悠然とそびえ立つ “鳥居” という名のその大きなゲートを素早く潜り抜け、雨宮神社の中へ…。
蒼白い大きな光りが見えたその場所へ…雨宮がいるであろうその場所へ…次の瞬間、転がり込むようにして、一気に躍り出た。




