表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/71

美沙 ①

ほんの一時間くらい前までは数人いた他の生徒達も、今はもう誰もいなくなって…。

…そんな神楽坂学園の図書室の、隅のほうにある大きなテーブルの前に座って…一人、積み上げられた分厚い本の中…まるで埋もれるようにして、黒川 美沙は必死に目の前に広げられた本のページをめくり、そこに書かれている文字を真剣な眼差しで追って…いた。


この方法も、ダメ…。

この方法は、問題外。


そんなことの繰り返しで…もう何冊目だろうか?

特別科クラスのある強みで、ここ神楽坂学園の図書室の中には、特殊能力やそれに関連する文献・書物自体が他の学校の図書室に比べて…いや、街にある普通の図書館と比べても、豊富に取り揃えられているはずなのだが…。

…。

自ら望まぬ “ひょう” …や、自ら望んで力あるモノを自身の身体の中に “召喚する” …というケースは、数点発見出来たものの…。

今回の件の人為的に人の胎内に、 “害あるモノを封じ閉じ込める” …というケース自体がまれで…。

しかもさらにそこから、その害あるモノとそれが封じ閉じ込められている器…つまり、道具となってしまっている身体そのものを無傷で分離させる…という方法となると…。


…全くと言っていいほど、見つからない。


美沙は、捲っていた本のページの手を止めて…小さな溜息を、つく。

そして天井に向かって、両腕を伸ばすようにして伸びをした後、目を休めるように二~三秒…瞳を閉じてから、誰もいなくなった図書室の中を見回した。


…ここ、神楽坂学園の生徒 および先生、そしてその関係者は、携帯する身分証明書でもあるプラスチック製のカードを…生徒は同様のカード式の生徒手帳になる訳だが…を、施設の入口毎に設置された読み取り機にかざすことで、二十四時間…好きなときに好きなだけ、学園内のあらゆる施設を無料で自由に利用することが出来る。

…もちろん一部、職員室や校長室など、入場不可能な空間もあるにはあるのだが。


コンピューター制御とはいえ、本当に便利で快適だわ…。

…。


調べていることから少し、脱線し始めた自分の脳内をリセットするかのように、美沙はその場で首を小さく左右に振ると


早く凛さんを救い出す方法を、見つけ出さないと…。

思い出すのはどうしても、“することは分かっておる”…という凛さんのおじいさまのあの言葉…そして何より、あたしが凛さんの髪に触れたときに感じた、あの物凄い…妖気。

凛さんの限界は…もう既に、かなり近い…はず。

そしてそのことを、結界師である凛さんのおじいさまが知らない訳が、ない。

急がないと、急いで凛さんの身体の中から、悪鬼を追い出す方法を…分離させる方法を、見つけ出さないと…。

…凛さん自身が、悪鬼に乗っ取られてしまう前に…そして凛さんのおじいさまが、再封印の儀式を執り行ってしまう前に…。


美沙は気を取り直すように、目の前に開かれていた本のページに再び目を落とすと…素早くそこに書かれていた文字を目で追い、読み終え、急いでそのページを捲った、次の…瞬間。

捲ったページの冒頭に書かれていたその一説に目を止めて、それを静かに見つめたまま…硬直したかのように、そのままそこで、動きを…止めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ