謎の女の子
湯のみを載せた丸い木のおぼんを両手で持って、リビングルームに突然現れたその女の子は、俺達三人と目が合うと、恥ずかしそうにニコッと微笑んで…小さく会釈をしてから。
…思わず条件反射で会釈を返した俺達三人の前に、テーブルの上に、おぼんに載せていた湯のみを順番に、一つずつ丁寧に置いていく。
…そして、俺達三人の前に湯のみをすべて置き終えると。
さっきから腕を組んで、ずっと瞳を閉じたままのじいさんの隣りに移動して、やはりじいさんの前にも同じようにおぼんに載っていた最後の湯のみを丁寧に置くと、そのままじいさんの隣りに並んでチョコン…と座った。
…。
…じいさんの長く辛い内容の話しを聞いた後、俺達三人はじいさんに対して、どう言葉を掛けていいのか分からず…また、今回の件について、どうすればいいのか分からなくなっていたときに…そしてまた全員が、…まぁ全員と言っても四人だけな訳だが…が、微妙な静寂の空気の中…無言で俯いていたときに、突然登場したこの謎の女の子に、俺達三人が再びどう接していいのか、言葉を掛けていいのか、戸惑っていると…。
そんな俺達三人の様子を恥ずかしそうに見つめながら、その女の子はやはりニコッと微笑んで
“冷めないうちにどうぞ”
…と言わんばかりに手を差し出して、そのままその手をゆっくりと引っ込める。
その愛らしい微笑みに、俺達三人はついつい促されるまま…テーブルの上に置かれた、それぞれの目の前にある、ほのかに湯気立っている湯のみをみつめ…
「…いただきます」
と最初に美沙が口を開いて、湯のみを手にし…。
次に
「いただきまぁ~す!」
と嬉しそうに摸が、そのポッチャリとした手のひらで湯のみを掴み。
最後に俺が
「いただきます…」
そうボソボソッと言うと、目の前に置かれた湯のみを手に取って。
次の瞬間、それをほぼ三人同時に口に運び…そしてゆっくりと、その中身を口に含んだ。




