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あなたのそばに22

 豊がほっとした瞬間、豊は胸の激しい痛みを感じた。不意にその場にうずくまり、横に倒れた。

 祐希は(豊!)と叫んでいた。

 「相沢さん」と北原がまず豊の異変に気づき、「救急車を!」と声を張り上げた。

 先ほどまでの和んだ空気が、一転して緊迫した。

 秋吉も相沢の手を握って、名前を呼び続けている。

 救急車は5分後に来た。豊は救急車に運び込まれた。

 「私が付き添います」と北原が救急車に乗り込んだ。

 秋吉も

 「相沢さん、私も車で病院に着いていきますから、絶対に持ちこたえてください」と声を張り上げていた。

 秋吉は駐車場に止めていた自動車に乗り込み、救急車を追いかけていった。

 「相沢さん、死なないで」と涙を流しながら、運転をしていた。相沢が収容される予定の病院の看板が見えてきた。病院まであとわずか、直線で数百メートルか、そう思った瞬間、ブレーキが利かないことがわかった。

 「え、ブレーキが利かない?こんなときになんで?」と秋吉は混乱をしていた。

 (秋吉さん、まず、アクセルを緩め、スピードを落として)

 秋吉の心に祐希の声が聞こえてきた。

 (そして路肩に車を寄せて)

 秋吉は祐希の指示通りに運転を続けた。

 (この先は緩い上り坂になっているわ、アクセルを踏まなければ自然に止められる。止まりそうになったら、サイドブレーキを引いて)

 秋吉は冷静さを取り戻し、心の声の指示に従い、自動車を無事に路肩に止めることができた。秋吉はフウッと深呼吸をすると、自動車を乗り捨て、走って病院に向かった。

 病院に着くと北原が手術室の前の椅子に祈るような格好をして座っていた。

 「北原さん!」

 「秋吉さん。急性心筋梗塞とのことです。今、緊急手術をしています」

 「今は祈るしかないですね」と秋吉は北原に言い、彼も頷いた。

 二人は祈り続けた。


続く


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