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あなたのそばに20

 次の日、Mellissaの広報部から正式な依頼があった。急ぐということで、翌日に打ち合わせを行った。

・パリコレで活躍しているファッションモデルを起用する。

・モデルはMellissaのペンダントとピアスを身につけ、白い透ける素材のドレスを着用する。

・モデルは横たわり、優しい表情で前方を見つめている。

・金髪がすけるような柔らかな光。

・ジュエリーははっきりと目立つように。

 これがクライアントからの依頼だった。

 豊のテクニックで出来ないことは無いと思った。しかし、クライアントは一流ブランドだ。プラスアルファの付加価値が求められる。そして豊にとっては、カメラマンとしてステップアップする大きなチャンスでもある。

 祐希がこの依頼を受けたなら、どう撮るのだろう。豊はプレッシャーを大きく受けた。


 その日の夜、豊は祐希の写真集「α」を眺めていた。

 美しいヨーロッパ調の庭園で肩を大きく出した赤いドレスを纏い、遠くを眺めながら、たたずむ女性の写真。

 肌が透けるような白いドレスを纏って、赤い革張りのソファーに寝そべりながら、こちらを睨むような表情をした女性の写真。

 木漏れ日が差し込む森の中で胸の大きく開いた白いドレスを着た女性が見下ろすような表情をしている写真。

 全ての写真において、生々しい匂いをたてる女の体があった。エロティックであり、それでいて卑しくない女たち。

 豊は一枚一枚を念入りに見ていた。そしてセッティング、ライティング、カメラアングル、レンズ、シャッタースピード、絞りなど想像し、頭に叩き込もうとした。


 一週間後、撮影の日がやってきた。秋吉も同席したいとスタジオにやってきていた。

 スタジオには数名のスタジオマンが付いており、アシスタント的なことを手伝ってもらえることになっている。

 豊の指示のもと、北原とスタジオマンがセッティング、ライティングなどを着々と準備をしていた。カメラアングル、レンズは豊が事前に決めていた。

 「北原くん、靴を脱いで、そこに横たわって」と豊が指示した。

 「はい」

 北原が横たわって、モデルのようにポーズをとる。

 豊はファインダーを覗いた。

 (いける!)

 豊は確信した。


続く

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