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あなたのそばに19

 祐希は現世に戻ると豊の部屋にいた。豊は肩を落として、祐希の写真を見つめていた。

 「祐希、俺はどうすればいいんだ」と独り言を言っていた。

 (ごめんね、豊。私に豊の幸せを奪う権利はないの。なのに、ごめんね)

 祐希はそう言って、豊を抱きしめていた。

 月日が経つのは早いもので、その日の2日後は豊の誕生日であった。一年前と同じように街路樹の葉は色づき始めていた。豊は仕事から戻ると部屋で一人静かに過ごした。

 翌日は祐希の命日であった。ひと月前に祐希の親族から一周忌は親族だけで行いたいとの連絡があったので、豊と北原は祐希の墓参りをして、祐希を供養した。


 豊と秋吉が食事をしたあの日から一週間ほど経ったある日、秋吉から事務所に連絡が入った。

 「相沢さん、ビックニュースです」

 秋吉は非常に興奮した声をしていた。

 「どうしたんですか?」

 「依頼があったんです、有名ジュエリーブランドから」

 「そうなんですか」

 「Mellissaからの見開き公告です。Stylishだけでなく、他の雑誌にも掲載されることになります。しかも、出来が良ければ、渋谷のビルに巨大パネルとして、掲げられることになるんです」

 秋吉は興奮さめやらぬ様子だった。

 確かにMellissaはニューヨークの高級ジュエリーブランドだ。しかし何故、その公告の写真の依頼がStylishに来るんだ?と豊は不思議に思った。

 「あのですね、Mellissaの広報部の方が編集部に来まして、相沢さんをカメラマンとして指定したいから紹介して欲しいというんですよ」

 「ええ?」

 豊は秋吉が興奮している意味がやっとわかった。

 「相沢さんにアクセサリーとかの特集をよく担当してもらっていますよね。それにMellissaの広報部の方が目をつけたそうなんですよ。それでモデルも美しく撮れるカメラマンかと尋ねられたので、この前の矢野祐希さんが写った写真を見せたんですよ。そしたら、即決で相沢さんに頼みたいとのことで」

 「そんな、大きな仕事、私に務まるでしょうか」

 「相沢さんなら大丈夫ですよ、とにかくOKということで先方には通しておきますから。先方から直接連絡が来るかと思いますが、とにかく頑張ってください!」

 秋吉は最初から最後まで興奮しっぱなしで電話を切った。

 豊も驚きを隠せない。平凡なカメラマンの自分に出来るだろうか?

 (大丈夫!豊なら出来る)

 祐希も豊に声をかけていた。


続く

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