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あなたのそばに11

 豊は少し思案した後に

 「ええ、出来るだけご協力をしますよ」と言った。

 「ありがとうございます。では今後ともよろしくお願いいたします」と秋吉は弾んだ声で言い、失礼します、とスタジオを去っていった。

 豊は少し思案している様子だった。祐希にプレゼントされた胸元のネックレスを触りながら。


 「相沢さん、先日の撮影の記事の見本ができましたよ」と秋吉は数日後、突然、事務所に訪れた。

 「すみません、突然押し掛けてしまって。相沢さんの写真がすごく良かったものですから。あの、差し入れにシュークリームを買ってきたので、皆さんでどうぞ召し上がってください。」

 豊は「ありがとうございます」と笑顔でシュークリームを受け取ってから、見本の写真を見ていた。

 「良く撮れていると自分でも思います。秋吉さんの初仕事がうまく行って良かったです」と豊は秋吉に笑顔を向けていた。

 「今からクライアントに写真を届けに行くところだったんです、だから申し訳ないですけど、今日は失礼しますね。でも北原くんはいますから、どうぞゆっくりしていってください」と豊は鞄を持ちながら言い、

 「じゃあ、後はよろしく」と北原くんに声をかけ、事務所を出ていった。祐希は自分のデスクに座って、二人の様子を伺っていた。

 「今日は相沢さん、外出なんだ」と秋吉は独り言を言った。

 「秋吉さんって、相沢さん、狙っています?」

 北原がコーヒーを淹れながら、冗談混じりに秋吉に尋ねた。

 「え?どうしてですか?」と秋吉は北原に聞き返した。

 「だって電話やメールですむようなことをわざわざ足を運んでもらっていますし、それに表情でわかりますよ」と北原は少し笑いながら言った。

 「そうかなあ」と秋吉が呟いた。

 「でも、相沢さんも秋吉さんのこと、気に入っていますよ。相沢さん、最近明るくなりましたし。先生が亡くなってからは、ずっと落ち込んでいて、二人でいるのも息苦しかったんですけど」

 (確かに豊の笑顔が見られる日が増えてきたかもしれない)と、デスクに腰掛けていた祐希も納得した。

 (最近は寝る前のビールも減ったみたいだし、少し元気を取り戻しているのかも)

 祐希にとっては豊が元気になるのは喜ばしいことだが、ほかの女性に取られるとなると、複雑な思いだった。


続く

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