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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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テーセの憂鬱な時間 12-1

 1.新入社員テーセ



 仕事、行きたくない。

 朝の目覚めはすっきりしないし、身体がいつも以上に重く感じてしまう。

 だんだんひどくなっている?

 黙々とモーニングを取る。味がしないような気がしてくる。姉が作ってくれているのだから、絶対に美味しいはずなのにおかしいよね。

 姉が話しかけてくるのだけれど、頷くだけで口数は少なくなっている。

 ごめんなさい。

 心配かけたくないから、余計なことは言いたくなかった。

「大丈夫」

 それが口癖になっているような気がする。気のせいじゃないな。

 姉が職場まで送ってくれなかったら、部屋に戻って閉じこもってしまっていたかもしれない。

 なんでみんなは朝から笑顔で挨拶しながら、仕事に入れるのだろう?

 わたし、笑えているのかな?

 わたしは三月まで大学生だった。十八歳で地元の有名大学を普通に卒業している。

 この四月に社会人になって一ヶ月、仕事は簡単なものしかやらせてもらっていない。指導員はいるけれど、今の人はいるだけで何も教えてくれなかった。黙々と自分の仕事をこなしているだけで、彼女に文句や愚痴をこぼそうものならすぐに告げ口され、課長に嫌味を言われるので会話もしていない。

 仕事を回してもらえればそれに従うだけ。課全体では大きなプロジェクトに忙しそうに仕事をしているのに。わたしは……。

 つまらない。

 集中していないせいか、ミスをしまくる。

 簡単なプログラムだったのに無意識にプログラム改変を行ったりして、モニターをブラックアウトさせていたり、端末の熱暴走、さらにはシステムダウンさせてしまって課長から大目玉を食らい、三時間説教されまくった。終業時間が来なければもっと続いていたはずだ。

 誰も庇ってくれない。

 実際にあと三分復旧が遅れていたらデータが消失してしまっていたかもしれないので、焦った。それにこんな話姉に出来るはずがない。

 絶対に謝罪しに来ると言い張るはずだ。

 姉にはこんな場所に来てほしくなかった。

 わたしに近づいてくる課員は男性が多い。それも下心が見え見えの人達ばかりである。

 みそっかすなわたしと違い、姉は容姿端麗で器量が良く、仕事も出来る。ちんちくりんなわたしは出涸らしとまで言われたこともあるし、小さな頃から迷惑かけて問題起こしまくりなのにわたしには物凄く優しい。

 わたしの目標であり憧れだ。

 本当にパーフェクトと言ってもいいほど素晴らしい。そんな姉を信用できない人達に合わせることなんてできない。

 特に課長は酷い。それが分かっているから断ったら意趣返しが始まった。

 指導員が変わり、末席に追いやられ、仕事もロクにさせてもらえなくなる。その代わり説教が続くのである。嫌になるのも分かるでしょう?

 姉を任せられるとしたら、お兄ちゃんしかいない。お兄ちゃんと言ってもわたしがそう呼んでいるだけで血縁でも何でもないよ。

 ただ信頼できるし、わたしを救ってくれた心優しい人で、本当に強いんだ。

『自分を誇れ』

 そう言って、わたしのことを認めてくれた。優しく頭を撫でて鼓舞してくれた。

 どん底だった気持ちが奮い立ちやる気が出てきた。だからこそ、姉やお兄ちゃんと一緒に仕事がしたかったから就活、頑張った。

 最初は地元のジプコ支社から始めて、ジプコ本社の試験も受けて面接までこぎつけた時には本当に嬉しかったんだから。

 大学でも研究室でも無気力になりかけていたわたしが努力したのだ。本社採用になった時には本当に飛び上がって喜んだ。

 母にも姉にも祝福してもらえた。やれば出来るんだって思った。

 本当は最初から一緒に姉たちと仕事がしたかったけれど、姉離れするように言われていたし、武者修行のつもりで今の仕事に臨んだ。

 希望を胸に姉に誇ってもらえるように、出社して入社式に行く。

 配属先では歓迎してくれているようにも思えたけれど、学生時代とは違う環境に違和感もあった。様々な年代の人達がいてギャップがあり、話が通じなかったりする。同期もいないし、同年代にはしばらくすると遠巻きにされていく。

 意味が分からなかった。

 姉には心配させたくない。それなのにあの課長は何か企んでいるようにも見えた。それがなんとなく分かっているのに、誰にも相談も出来ないままズルズル来てしまった。

 どうすればいいんだろう? わたし。



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