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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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トラッティン産業博覧会④軋轢 11-8

 8.懲りない奴



「よう」

 ノルディックが朝早く事務室に顔を出すとオリエナが出社ていた。

 病院から出てきたのだろう。

「退院して大丈夫なのか? 全治四日って聞いたが?」

「身体も指も動くから大丈夫だって言って出てきた」

「まあ、ベットで寝ているだけっていうのもつまらんからな」

「今はラインをいじりたくて仕方がないんだよ」

「だろうな」

 ノルディックは嬉々としてサイバー空間に向かっている姿を見ていた。怪しい顔つきで。

「病院からだとセキュリティの面もあるから仕事が出来ないしな」

「もうTDFの寮に引っ越してくればいいんじゃないか?」

「今、不動産屋と交渉中」

 オリエナの顔色は悪くないし、話し方もいつも通りに見える。

「まあまだ流動食だし、昼休みに病院へ行くけどね」オリエナが肩をすくめる。「ちゃんと飯も食える。ペリシアさんの飯が食えるって、本当に有難いよねぇ」

「しばらく離れていないと有難みは理解できないよな」

 豪快に彼は笑っていた。

「本当に健康な体はありがたいよ。それにしても今日は珍しいね」

「さっきまで、そこのソファで寝ていたからな。シャワー浴びてさっぱりしてきた」

「ああ、だからディがいないのか」

「そこまでする必要が無いって言ったんだけれどな」少し照れ臭そうにノルディックは言った。「保存食もあるんだし」

「そういうことでしょう。心配してくれているんだから、ありがたく頂けばいいさ」

「そうだな」ノルディックは見つめてきた。「少しは懲りたか? エレナを揶揄うのもさ」

「ますます揶揄いたくなったよ」

 オリエナは鼻を鳴らしたあと、声を上げて笑った。

「あれだけ痛い目を見てもか?」

「ギリギリを攻めるのが楽しいじゃないか」

 当然のことのように言ってのけている。

「そういうものなのか? 懲りない奴だな」

 呆れ顔でノルディックは言ってきたので、言葉を返した。

「あれだけ揶揄い甲斐のある奴はいないよ」

「なるほど。フィオーレみたいだな、オリエナは」

「そうとも言えるのか?」

 お節介なお母さんとでも言いたいのだろう。それはちょっと違うな。

 その言葉に頷きながらも、やっぱりあたしは真っ直ぐな奴が嫌いなだけなんだろう。

 この天邪鬼な性格故に。

「エレナのオリエナの見る目が変わった気がするしな」

「そりゃあ散々脅したしな」

 あたしはニヤリと笑う。

「まあほどほどにな」

 まだ借りは返してもらっていない。あたしが何を言うのかとビクビクしているのだから、このまま怖がらせているのも有りだと思ってしまう自分がいるのだった。



    〈11話 了 次へ続く〉



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