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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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FREE MIND 9-1 

 1.ロイスとキャスティを見て ~シュルドとペリシアのブローク的な始まり



 ロイス・カインズは宇宙歴三百六十年三月二日にキャスティ・トウエル嬢と結婚する。

 キャスティの大学卒業の翌日のことで、彼女の出身地である太陽系ハイ・ドナン第五惑星リッカスでの挙式となりました。

 教会で純白のドレスに身を包んだ彼女は、父親に手を取られ神前で待つ彼の元へと進み、二人が並び立つとそこで神父からの祝福の受け、誓いの言葉をロイスとともに述べ、指輪を交わした。

 家族や縁者、友人からの祝いの言葉や拍手喝采を浴びて教会を出ると、その後は披露宴が盛大に行われていて、その三日後には、ロイスの親戚への挨拶を済ませ、キャスティはティーマでの入国審査など、移住に必要な手続きを済ませティーマの惑星籍を得ていた。

 三月六日にロイスに連れられ、初めてTDFを訪れる。

 ティーマの三月は薫風と呼ばれ、この日も晴れ渡り薫る風が初夏の訪れを告げていた。

 TDFでは二人のティーマでの披露宴が執り行われることになっている。場所は社員食堂が使われることになっていて、キャスティにとっては配属先がTDFと決まっていたため、所員との初顔合わせとなり緊張していた。

「大丈夫だよ。キャス」

 彼女のふわりとした薄桃色の髪の上に優しく手を置き撫でた。身長は百五十八センチしかなく小柄で長身なロイスとは頭ひとつ分くらい違っていた。

「緊張しますよ。何せこれから上司となる方や同僚となる人達がいるのですから」

「癖の強い方もいるが、総じていい人たちだよ。キャスもすぐに馴染むはずだ」

「そうだといいのですが」

 つぶらな漆黒の瞳が眼鏡の奥から、心許なげにロイスを見つめている。銀縁の眼鏡は主に事務用に新しく作ったサイバーグラスだが、視力が悪くなりがちなので目の補正用も兼ねていたため常時つけている。

「僕も最初は緊張したけれど、本当に楽しくて良い職場だよ」

「そうなのね。ありがとう。楽しみだわ」

 キャスティは来月の一日にジプコ本社で辞令交付を受けると正式に所属となり、TDFの総務だけでなく経理の仕事もこなすことになる。三月中は研修と称し、ロイスの三度のトラッティン出張に同行し仕事をフォローすることになる予定だった。最も最初の出張はフェリウスから言付かっていたクリスの配慮もあり、新婚旅行も兼ねているという。

 トラッティンでの作業確認や折衝が忙しくなりキャスティを伴っての旅行が困難になりつつあるロイスに配慮してのことだった。


「ロイス。結婚おめでとう!」

 入口で待っていたオガワに案内されて、ロイスとキャスティが社員食堂へと入場すると、一斉にクラッカーや口笛が鳴り響く。紙吹雪も吹き付けてきたが、それは全て映像でパーンパイプを駆使し映像を駆使し展開して社員食堂を豪奢な部屋へと変え、華やかな音楽が室内を満たす。

「キャスティさん。ようこそTDFへ」

 司会を務めるシンシマが、マイクを手に二人をライトアップするのだった。

 キャスティは自分がドレスを身にまとっていて目を見張る。ロイスもタキシードだった。

「これも映像の力だけれど驚くよね」

「……凄いわ……」

 歩いていても二人の動きに合わせていて映像と身体が乱れることはないのである。規則正しく歩いているわけではないし手を振ってもそこに白い手袋が実在しているようにあるので不思議だった。

 二人は言われるままに、中央に準備されていた巨大なケーキに入刀させられることになる。これはペリシアのお手製で実物だったのでさらに驚かされた。ファンタジーランドにでも招待されたのだろうかと、キャスティは思ってしまうのだった。

 料理も豪華で、メインは太陽系ハイ・ドナンとロイスの出身地ロー・ドナンの料理だ。

 TDF所員は休日ではあるがこの日に合わせて全員がそろっており、部外からはフェリウスやアサノ課長も招かれていて、もちろんペリシアだけでなくパートルやテーセまで今後顔を合わせることになるので姿を見せて、総勢十七人でロイスとキャスティの門出を祝った。

 オガワの音頭で乾杯するとロイスはキャスティを連れ、一人一人挨拶し妻を紹介していくのだった。

「ペリシアどうした?」

 シュルドは挨拶を済ませた後、壁際で二人の様子を見ているペリシアの姿を見つけると傍らに立ち彼女に訊ねる。

「うらやましいなと思って」

 ポツリとペリシアは言った。彼女は微笑んでいたが、寂しそうでもあった。

「私達は挙式すら上げていないからな。うらやましいなら、祝い直すかい?」

「今更ですか?」ペリシアは微笑む。「子供もいるのに」

「関係ないだろう。祝い事に」

「そうですね。嬉しいです貴方。でも今も幸せですからそれだけで十分ですよ」

 これまで育んできたものもある。

 本当に今が満ち足りていて充実していた。

 彼と出会わなければ叶わなかったことであるとペリシアはあの日の出来事を懐かしむのである。


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