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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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始まりのフォアカード 1-4

 ~エピローグ



 シンシマ・ケンマウは情報通であると自他ともに認めるところである。

 他課でも知りたいことがあれば「シンシマに訊け」と言われるほどであった。 噂好きな者達からも情報が集まってきていて、持ち前の交友関係から本社内で起きている動向を本質に迫るまで調べ上げていた。シンシマは趣味である車や映画、音楽などへの造形が深くマニアの域を軽く超えていて、あまりにも詳しすぎて対等に話が続けられる者は少な過ぎたが、人付き合いも良く絶妙の感覚では話しかけるために知り合いは多くいたため気が付くと様々な話を聞くことが出来た。その情報収集能力もジプコ社内においては群を抜いたものだった。人懐っこい彼は趣味などから広げていった人脈をもとに社内の情報を集めて、どのように会社が発展し人間関関係を築きあげられるかを興味津々に探っていた。気が付くと個人的な交友関係から色恋沙汰まで全てではなかったけれど本社内のゴシップを入手していた。真偽が定かでないものもあり、きちんと裏を取らなければ話すことのできない情報も多かったが、記憶力も良いだけでなく人脈も含め自ら社内ネットワークに潜り込み気になることを納得いくまで調べ上げている。

 特筆すべきは集めたデータを熟考し正しい情報や噂話を必要な人に話をしていることである。そのためシンシマ・ケンマウの名は信頼ある情報筋として彼を頼る者も多かったという。

「なあなあシンシマ、知っているか? 新部門の立ち上げの話」

 同期が二人して休憩コーナーで一人缶コーヒーを飲んで端末を操作していたシンシマにお気軽に問いかけてくる。端末をポケットにしまい同期を見ると、何か面白い情報がないかという顔付きをしているのが分かるほどだった。

「聞いているよ。新事業の話もな」

「そうそれ、噂じゃなくて事実だったんだな」

「まだ社内秘扱いだよ」

「どれくらいの規模で、人員はどうなるんだ?」

 彼らの様子からも最も気になるところなのだろうということは、ありありと分かる。

「配置人員はかなり小規模だ」

 旧開発三課の施設を使うにしては人員不足なのは明らかに見える。

 その上で会社経営陣に実績や立ち位置を宣言しているのは異常に見えて、シンシマとしても気になって仕方がない。

「そうなのか意外だな」

 社内秘とはいっても情報の出所と流布が制限されていないのもおかしい。

 会長の一人息子が部長に就任し、人事部長が降格してまでその一人息子のサポートに回るのは異常事態に思えた。

 総務部門だけでなく経理部の知り合いに声を掛けながら情報を集めていたが、肝心の理由や動機付けが見えてこない。一人息子もそうだが、人事部長以外には所属が決まっている二人ははぐれ者感がぬぐえない人物だ。通常であればあり得ない人事だったし、おかしなところだらけの新部門だった。

 それ故にシンシマは興味がわいてしまい、調べ上げようとしていた。

「他からの大規模な異動はなく、最初は最小限でやっていくつもりのようだな」

「それで成り立つのか?」

「分からない。調査中だ」

 会長の一人息子が部長になることや三課でつまはじき者が残ったことは伏せて置いた。これを言うと良からぬ噂が広がりそうだったので、情報源を探られないようにしていたのである。

 それでなくてもいい加減なゴシップが本社内でも乱れ飛んでいたので、シンシマは不正確な情報を流したくはなかった。

「銀河歴で来年の年明け一日に公表される話だ。人事異動はごく限られた者にしか出ないし、お前達には関係してこないよ」

「そうなのか」

「色々とあると思っていたんだがな」

 同期連中はもっと面白い話が聞けると思ったのかもしれないが、彼らがそう判断し喜びそうなところはまだ伏せていた。

「面白い部署が出来ると思っているよ。TDFは」

「TDF? そんな名称になるのか」

「情報技術端末研究所の略称みたいだな。子会社ではないし独立した本社部門になるという話だ」

「よくそこまで分かるな」

「さすが情報通のシンシマだ。頼りになる」

「まあ今度飲みに行くときにおごってくれたらいいさ」とシンシマは言う。

「ちゃっかりしているな」

「情報料を取らないだけでも良心的だと思え」シンシマは同期の出っ張り出した腹を軽く叩く。「そうしないと、出る腹は打たれるってな」

「出る杭じゃないのかよ」

「お前さんが太らないように釘を刺しているだけだよ」

 そういうとシンシマはさらなる情報集めに出ることにした。同期二人に別れを告げると缶珈琲を一つ買って休憩コーナーを後にすると経理部へと向かった。

 その後もシンシマは社内端末を使いながら都度都度TDFの内部情報を収集していくのであった。

 その過程でパーンの発案でシュルドがプログラムし設置したセキュリティシステム兼人材集めのトラップにシンシマが挑み知らず知らずのうちにパーンの知るところになっていくのである。

 シンシマはTDF開設から五か月後に突然の異動となり、TDF所属となるのであった。 

 それは運命に導かれるようであったとのちにシンシマは邂逅する。



 〈第二話へ続く〉


連作シリーズ第一は完結です。

男だらけ(しかもおっさん多め)ですいません

第二話で二人の美女がTDFに異動してきます。華やかになると思いますのでよろしくお願いします。

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