部長秘書の喜怒哀楽 7-2
2.秘書から見たTDFとそのメンバー
ここで私ことフェリウス・アーク・アウゼンの自己紹介をいたしますね。
現在、銀河標準時間で二十歳。身長は百六十二センチ、体重は四十六キロ。ヘアカラーは黄色に近い金髪でウェーブのかかった長い髪が特徴です。瞳はエメラルドで身長なりの均整の取れたプロポーションであると思っています。
色はオレンジなどの暖色系を好み、服のコーデにもそれが反映しているようです。
ティーマとは真逆な反対側の銀河の縁にある辺境惑星で生まれました。
辺境惑星ですが、その星では名の通った資産家の家庭に育ち、淑女教育まで受けました。ミドルネームがボルタホナともうひとつありますが、家を出た時にそれは捨てています。大学時代やジプコへ入社した時にはそれぞれの太陽系国家での登録では省きました。
三人姉妹の末っ子で、もう一人兄がいます。家督は兄が継ぎ、姉達もそれぞれ名家や有力者の家に嫁いだと聞きます。私も政略結婚の道具として使われそうになりましたが、それが嫌で婚約が決まる前に家を飛び出して自立した生活を送っているのです。
ジプコに入社して二年になり、採用以来秘書課一筋で仕事をしてきました。
それが七ヶ月前に社長命令で新設されたばかりのTDFへ部長秘書として出向することになりました。出向扱いは我らがボス『ベビーフェイス』ライクストン秘書課課長(彼は裏では『宦官』と揶揄されていたりもします)の最後の抵抗であったようです。私を手放したくないというお話は大変嬉しかったのですが、出向扱い故に問題も起きました。
今まで秘書達の引き抜きや貸し出しをかたくなに拒んできたため、こういった前例を作ってしまったので他の部長達や取締役からも借り受けの要請が来たのでありました。そのほとんどは好色家として知られる輩です。なにせ我が秘書課は才媛な美女ぞろいですし、名家の出身者も多くいました。狙われるのは必至です。
本当に自慢のお姉さま方であります。そのような方々を不遜で不埒、下品な輩の元へ出せるわけがありません。ボスは頑として断りを入れているそうです。流石です。
おっと、話が少しそれしまいました。
私は秘書課ではスケジュール管理の達人としておだてられていたようです。出向二日後にはその鼻っ柱を再現不能にまでへし折られました。思い上がりも甚だしかったと。
どれほど完璧にスケジュールを立てようとも相手が居なければ、いえ逃げられてしまっては意味がありません。本当に。
見張っていても忽然と部長は姿をくらますのです。まるで手品です。千里眼をもってしても見つけられませんでした。
私が派遣されるまでに七人も秘書が辞めているのも頷けます。『秘書潰し』とまで揶揄されるほどの異名は伊達ではありません。私自身、フィオーレ達の支援が無ければ立ち上がることすらできなかったかもしれません。嘘ではありませんよ。
「部長は私のことが嫌いですか?」
この時の私は涙目だった。
これほど感情があらわになったことも初めてだったと思います。何せ私はどんなに辛くてもへらへら笑っているだけで感情を見せたがりませんでしたから。私はかたくなに亡き母の教えを守っていたと思います。『笑門来福』『和気財を成す』と教えられたのです。苦しくとも笑っていました。
きっと私はここで本当の感情というものを覚えたのかもしれません。
「いえ。むしろ好ましい女性だと感じています」
我らがボスのように人をとろけさせるような甘い言葉を言ってきます。女たらしの素質ありです。未成年でなければときめいていたかもしれません……。
「本当ですか?」
「嘘偽りありません」
「だったら隠れてしまわないで下さい。私の立てたスケジュールを見て、守って下さい」
「すいません。ですが重要なことではないので、どうしても仕事の方を優先してしまいます」
「重要ですよ。他の部長や取締役との会談も、商談に訪れる方に会うのも」
「僕じゃなくても大丈夫だし、くだらない話ですよ。フェリウスにお任せしても大丈夫だと思えるほどに」
この答えに私は衝撃を覚えました。
弱冠十四歳が達観した言い方をするのです。確かに私でも無駄だと思うくだらない会談も会食もあります。それでもそれが部長の務めでもあるのです。ちゃんと仕事して下さい。お願いします。
この少年はどこに向かっているのだろう? どのように育っていくのだろうかと気掛かりにもなります。
私はTDFの方々から根性があると言われました。今だから言えますが、お嬢様育ちとしてはと注釈が付いていたと思いますよ。
出向してもすぐに戻れると思っていました。長くても一ヶ月だろうかと。
それが七ヶ月になるとは誰も思わなかったでしょう。
何度、私は彼らの前で泣き言を言い、涙を流しただろう。本当にTDFの皆さんの前で恥ずかしげもなく泣きっ面を見せていたのです。酒の席にも誘っていただけましたし愚痴も聞いてもらい励ましてもらいました。オガワさんの言葉は酔っぱらっていなければ心に響きましたよ。それに何度も秘書課のお姉さま方にも愚痴をこぼしましたし、泣き言も言いました。
そして翌日からは再び、悔しくして「次こそは」と執念を燃やし戦いました(誰と?)、今では何とか自力で雲隠れした部長を見つけることが出来るようになってきました。継続は力なりですし、経験の蓄積です。
オガワさんは私を呼び寄せる際にボスに、私を成長させて戻すようにすると言って下さったそうです。成長できたかどうかは分かりませんが、図太くはなったと感じています。
「聞きしに勝る兵なのね。その少年部長は」
頬に手を当てレイスィアさんが困り顔で言うと、その隣ではシェロンヌさんがため息をついていた。
「あまりにも忽然と消えてしまうのです」
「さすがはフィオーレ・カティエス嬢の従弟というところか」レイスィアさんが唸る。
「知っておられるのですか?」
「あやつとは採用が同期だからな。何度煮え湯を飲まされたことか。外見に騙されてはいけない。癖が強すぎる」
「私はフィオーレさんには良く助けてもらっていますが?」
「少しは性格が丸くなったか?」
「まあフィオーレは人を見て対応してきますから」シェロンヌさんは微笑む。「頼りになるのでしたら、思いっきり頼りなさいな」
「まあそうだな。能力だけは無駄に高いからなカティエス嬢は」珍しくレイスィアお姉様は眉間に皺を寄せられていた。
「ねえ、そんなに辛いのなら、私が代わりにそちらに行きましょうか?」
「い、いえ」私は慌ててしまう。「愚痴を聞いてもらっていますが、そんなつもりはありません。私はまだまだ頑張れます」
私の尊敬すべきお姉さま方の手を煩わせるわけにはいかない。
でもその申し出は涙が出るほど嬉しかった。
私の趣味は料理です。
お嬢様が料理? と思われるかもしれませんが、お金持ちの家に生まれても味っ噌かすで、親の愛もなく冷遇されていた私はいくら使用人がいても、自力でたくましく生きていかなければならない境遇の中で育ちました。
いつか家を出て、自立出来るように生きる術を身につけなければなりません。そう決意し、粗食に耐え、自分で美味しい料理が食べられるように、我が家の厨房に潜り込み料理人たちと懇意になれるように頑張りました。
支援も受けられず家を飛び出した私は、親兄姉からも、泣きついて戻ってくるだろうと思われていましたが、アルバイトをしながら奨学金をもらい立派に大学を卒業し、ジプコへの入社を果たしました。私は甘えは捨て去ったつもりでしたが、それでも甘えは残っているとTDFで思い知らされました。精進すべく頑張ると心に誓うのです。
自立してからは一人暮らしですので、今でもお弁当派でした。
美味しくできた時、彩も良くランチボックスに詰められた時は嬉しさもひとしおです。どんなに辛くてもそれで乗り越えてきました。
それでもTDFでは辛く落ち込む日々を送っていましたが、そんな私の救世主、心の拠り所となってくれる方が現れました。ペリシア・マリー・アルベイラーさんです。
TDFの所員シュルドさんの奥様ですが、寮生活であり、徹夜も当たり前の私達若手の食生活を気になされたオガワさんが招聘なさってくれたと聞きます。それまでは第三データ処理部の社員食堂で働いていたそうですが、突然の解雇通告でTDFの社員食堂を担当してくることが急転直下決まりました。あのドラウド元部長は大嫌いでしたが、この時ばかりは神への祈りとともに感謝しています。
本当にペリシアさんの料理は絶品で、どこの一流シェフにも負けないものでした。しかも温かみに溢れています。
私は特にペリシアさんのケーキが大好きです。超大ファンです。
フワフワのスポンジに絶妙の甘さのクリーム。ワインやブランデーが使われたパウンドケーキはしっとりした食べ応え、果実がふんだんに使われたタルトの生地はサクサクで果実の甘みも酸味も損なわれずにいる。チーズケーキもモンブランも絶品だ。こうして話をしているだけで口の中が唾液で満ちていく。
これだけでも私はTDFにいる意味があった。
「部長。もし私が秘書課に戻っても、TDFの社食を使わせてください。お願いします」
「いいよ」
「代金は払いますので……」土下座しようかと思っていたのにあっさり受け入れられてしまった私は驚きのあまり部長を見ていた。「えっ、いいのですか? 本当に?」
「無料です。それでフェリウスが喜んでくれて、癒されるのならかまいませんよ」
「本当ですからね。書面にしてください」
私は素早く文書を作成して、部長にサインをもらっていた。
「それで納得していただけるのならいくらでもサインしますよ」
私はジプコで働き続ける間は永久利用権を得たのです。
小躍りしましたよ。それだけで私はどんな困難も乗り越えられる気がしてきました。
大げさでも何でもありません。本当に重要なことなのです。
宇宙歴三百六十年という年が明け、少しして私は秘書課に戻ることになりました。
毎日来ることは叶いませんでしたが、それでも癒されたいときは必ずここにやってきた。
勿論、秘書課の同僚も連れてきたことがあります。会食の時のデリバリーを頼んだことも。
ペリシアさんの料理を餌に仕事を手伝わされることもありました。秘書課人数分のペリシアさん特製ケーキがホールで手に入るのなら安いものだと思ったこともあります。
本当ですよ。
それにTDFに関われたことで、もうひとつ良いことがありました。まあそれはのちのことなのでここで話すことではありませんね。
私にとってTDFがどのようものだったか、今も良く分かりません。不思議過ぎて現実味がありませんでしたが、それでも秘書課に戻った時、仕事がものすごく楽に感じたものです。笑い事ではありませんよ。
ただ言えるのはTDFは短い時間ではありましたが、苦労とともに人生の輝きであり宝であったと思えてくるのです。
私語りはここまでとして、宇宙歴三百五十九年末現在のTDFメンバーの紹介もしておきましょう。私見を交えながら。
TDFを率いる部長は年明けにようやく成人する弱冠十四歳の最年少部長。パーン・ロス・ヘルメナスです。
現会長の一人息子であったがために『我侭からできた部署』『道楽で設立された』とさんざん陰口を囁かれ『秘書潰し』から『美女好き』と当の本人は気にしていないようですが、様々なことが言われ放題であります。
子供であると馬鹿にされたり軽視されていますが、それでも大の大人相手に渡り合っていたことを私は知っています。スケジュール面では何度も泣かされましたが……。
性格は最後まで私には読めませんでした。本当につかみどころがないのです。それは所員全員が感じているのではないかと思われます。本人もそれを説明するのが難しいのか、唐突に話を進めてくるので私達は困惑させられっぱなしでした。
プログラムはA級ライセンスを持っています。すばしっこさ同様、指先の動きも早いし、ハード面も詳しい天才児であります。彼がTDFであり、一応、部長であると言えました。
TDFを実質纏めていたのは部長代理バーリー・リライアント・オガワさんです。
元人事部部長で『仏の』『人徳のオガワ』と呼ばれるほど面倒見がよく優しくて人を見る目がある方で、この人が居なければ仕事が成り立たず、個性派集団であるが故にバラバラに空中分解してしまいそうなほど危ういTDFの扇の要です。そしてこの方がいなければ、これほどの人材は集められなかっただろうと言われるほど人脈が広い方でした。
私はTDFに来た当初、私を呼び寄せたのがオガワさんであることを知りオガワさんをお恨みしたこともありましたが、それでもかなりお仕事では助けられたことも事実なので感謝しきりです。
奥様であられるパートルさんも臨時でTDFの総務関係の仕事をして下さります。『笑顔の悪魔』との異名もあり、かつてはジプコ総務部で剛腕を発揮していたとか。私は十分助けていただきました。はい。
シュルド・アルベイラーさんは『電算室管理主任』の肩書をお持ちしています。
目付きがきつく。さらには『毒舌』としても名をはせる強面の人です。私も最初は怖かったです。何度も手伝いでプログラム作業のお手伝いをさせられました。いえ、しましたが、何度やり直しを命じられたことか……くじけそうになりました。私はジプコ入社にあたってプログラムの勉強も致しましたが素人も同然です。
シュルドさんには必ず役に立つと言われましたが、信じられませんでした。
よく皆さん立ち向かえるなと思った程です。
対人関係は不器用な方だとのちに宴席で分かりましたが、厳しく怖かったので近寄りがたかったです。でも本社では三人しかいないSランクブログラマーで、いつ仕事をしているのか分からないほど超絶早いです。それが妻子のために定時に帰宅していることが分かった時には、この方を見る目は手の平返しするかのように変わりましたよ。
見た目だけでは人は分からないものだと実感する次第です。
奥様であられますペリシアさんには本当にお世話になりました。結婚して欲しいと思ったほどにです。それほど彼女の料理は私にとって癒しであり心の支えでした。
プログラミングを本格的に学んだことで私は表計算ソフト以上のシステムを組むことが出来、のちにC級のライセンスもとりました。私の仕事の幅も広がりご夫婦には感謝の言葉もありません。
ロイス・カインズさんは今年の九月に新規採用された方です。
長身ですが、見た目通り気配りも効いて優しい。
大学を卒業後、銀河系惑星を八年間放浪し山岳登山をしていたという異色の経歴を持ち、結婚を決意し、奥さんのために地に根を張ろうと根無し草だった彼は就職を決めたというところも好感が持てます。
トラッティン産業博覧会の件ではトラッティンの行政府や企業との打ち合わせや連絡とオガワさんや部長のスケジュール調整もあり私ともかかわることが多く持ちつ持たれつの関係であったと思います。
出張も増えてきたのでトラッティンでのスケジュールや旅客船の手配もしています。三十路近くの新人ながら頑張っています。そのうち『オガワ二世』と呼ばれるのではと私はみています。ご結婚の際は是非祝わせてください。奥様にもお礼が言いたいです。
フィオーレ・カティエスさんは見た目麗しく本社でも双璧と言われる美人です。社内ネットワークによる年二回のコンテストではトップを何度もとっていました。
ただ性格はというと部長同様難解です。部長の従姉というだけはあります。
難解なのは人によって態度や当たりを変えるからで、私には優しい方だったと思いますが、厳しく躾けられた方もいました。スポーツも万能であり、護身術も相当の腕前で私も習ったことがあります。親睦を兼ねた本社内課対抗の男女混合バレーボール大会でも活躍、司令塔としてTDF優勝の立役者となっています。
まああのメンバーは反則級ではありましたが。
何でもこなす完璧主義者という異名は伊達ではないようです。
才媛で彼女もSランクのプログラマーでありTDFプログラミングチームのまとめ役を担っている女傑であると言えます。これほど能力の高い方が採用時に秘書課に来なかったのはなぜだろうと思いました。
彼女に言い寄ったという剛の方もいたようですですが、再起不能になるまでやり込められたとか。怖いですね。
ホーカル・ジェイスキンさんは今年の九月に人事部要員課から異動されてきた方で、オガワさんの部下だったと聞きます。
TDFでは労務を担当され、所員の勤務状況を見て、どう対処されたらいいのか日々頭を悩ませています。それはそれは苦労されています。私と同様泣きを見るほどに。理解しあえた時がっちり握手していました。
組合の若手ホープでもあり、組合執行委員も務めTDFの外でも忙しく立ち回られています。
ものすごく長身で私とも五十センチも違うので、立ち止まって話をしていると首が痛くなります。あと見下ろされると迫力もありました。
特技はドラムで、演奏を見せていただいたことがありますが、長い手足からのドラミングは迫力がありプロ級のテクニックをお持ちのようでした。
アリエーさんは優しい方だと言っていますが、私は信じられません。彼女を邪険に扱ったりするのですから。彼女が信頼を寄せているのに袖にしたりするのです。見ていてイライラしてきます。本当に。
ノルディック・ドリスデンさんも迫力のある方で、噂でしか知らなかったので最初は怖かったです。
曰く『狂犬』ですよ。上司を拳で殴り飛ばし気絶させたそうで、良く首にならなかったなと思いました。実際に巨漢で目の前に立たれると壁が存在しているようで圧巻でした。銀髪の前髪は長く表情が読めないのもありますが、それは感情の起伏が激しくそういったところを見せたくないという理由からだとオガワさんに教えていただいたことがありました。
彼は自分が粗野で気配りも出来ないと仰られていましたが、十分優しかったです。
部長との掛け合いはコントや漫才を見ているようで楽しかった。本人曰く揶揄われているだけだと言っていますが、絶妙の間合いと会話であると思いましたよ。
デュエルナさんとも仲が良く、付き合っていないというのが不思議なほどよく一緒に行動されていました。
それ故に嫉妬からか『美女と野獣』『キングコング』などと揶揄されてもいました。
この方も武術から何でもこなし、アリエーさん曰くTDFでは最強だと言われています。先日は誘拐されたデュエルナさんの妹を助けるためにマフィア相手に無双して、銀河保安局から感謝状をいただいていました。
アリエー・ファムカさんは小麦色の肌が眩しく。よく薄着をされているのですが、ティーマの気候を考えますと寒くないのかと思ってしまうほどです。
野生児を自称されていまして、最初は信じられなかったのですが、たまにその片鱗が見られ驚かされます。独自の言語を口にされたり、倫理観がたまにずれることがあるのです。
彼女もスポーツ万能です。私には理解できませんでしたが、ジャングルを駆け巡り狩りをしていたからだとか。信じられます?
槍や弓が得意だと聞かされますが、狩り? 今の時代に信じられません。でもあのノルディックさんが戦いたくないと言っているのだから事実、お強いのでしょう。
惑星スクルの出身で文明から隔絶された世界で生きてきたためだと本人は申されていますが、まだ二十一歳という若いさながら、本当に奥ゆかしく面倒見が良く気配りも出来た方です。
精霊使いで、スクルの歌を披露してくれる時がありますが、聞き惚れるほどの美声で、TDFメンバーで結成されたバンドではカルという地元の横笛の他にリュートやボーカルも担当されています。
明るく元気な方ですが、寂しがり屋です。
つれなくするホーカルを見ていると呪いたくなってきます。本当ですよ。
彼女を幸せにしてやってください。お願いします。
デュエルナ・ネルミス・ツイングさんは『天使』と称され、フィオーレさんと並び称される本社、美の双璧とされています。
人気も高かったと思いますよ。
秘書課で研修なされたこともあり、私も同席したことがありますが、本当に良くできた方でした。出向の際は彼女がいてくれたことで心細くはありませんでしたから。
私と同じ背丈で均整の取れたプロポーション。天は二物も三物も与えたと嫉妬したくなるほどの天才で愛くるしい性格の持ち主であります。
彼女なりの気苦労もあったと、後からノルディックに教えられましたが。
妹さんとも先日お会いしましたが、似ていない姉妹だと思いました。デュエルナさんは清楚ですが、テーセは元気系の可愛らしい方でしたから。それでも仲睦まじい姿を見ると癒されました。最ものちに知りましたが、テーセはかなりのお転婆さんでもありました。
エレナ・ホナミ・ヤジマさんは癖のつよい方でした。
見た目がワイルドで、猛獣を思わせる容姿です。デュエルナさんを守るためとはいえ大乱闘を起こし、銀河保安局のお世話にも幾度となくあっている女性でした。
フィオーレさんが例えていましたが、女性版ノルディックさんだとか。目付きもギラギラしていて、いつでも獲物を狙っている猛獣のようでしたから、彼女も『狂犬』ということでしょうか?
実直で真っ直ぐな性格からか正義感を発揮し悪だと感じた人には立ち向かっていきます。
デュエルナさんとは無二の親友だと申されるだけあり仲良くされていましたが、ノルディックさんとアリエーさんをライバル視しており、何度もぶつかり合っていたと聞きます。
話によりますと勝つことは叶わず連戦連敗であったとか。それでも挑むのですから根性は人一倍であったと思われます。
私はあの目付きが怖かったこともあり、仕事以外では当時はあまり話しかけることはありませんでしたが。
シンシマ・ケンマウさんは情報通です。
私は出向扱いでしたが、転入扱いの彼とは同じ日にTDFに配属されているので同期であると言えましょう。
知りたいことがあれば、彼に聞けと言われるほど社内の事情に詳しかったです。独自の人脈を持ち情報収集能力に長けた方でした。
人懐っこく憎めない方です。私も初対面で馴れ馴れしく近寄られましたが、不思議と嫌ではありません。
多趣味な方で、それを活かせる能力も持っていました。どこまで引き出しがあるか、無限大ではないかと疑った程であります。
何せ社食のパーティションを組み、その際には料理も披露してくれたほどです。どのような話題にでも対応できるのは尊敬に値しました。
ハード面のリーダーであり、その能力を活かしています。話術にもたけていてアイディアマンです。産業博覧会でもその能力がいかんなく発揮されたと思います。
レイストとのコンビも絶妙で師弟関係を築いています。
二人はのちに芸能レポーターのようなインタビュアーとしてもTDFで活躍したそうですよ。
レイスト・ハイブルスはTDF最年少です。
その能力を認められてスカウトされています。
小柄で独楽鼠のように動く子でした。パーン二世のような気がしていましたが、そうではなかったようです。
ある意味図太い神経が無ければ生きていけないTDFでは気弱で繊細な神経の持ち主で有りました。よく精神が保てたものだと思うほどです。
可哀そうになるくらいシュルドさんにはどやしつけられ暴言も吐かれていました。それでも出社拒否もせず鬱にもならなかったのは、TDFでやって行けるほどの根性があったのだと思います。
最後は私の後任となるナーブ・クリスタル・リクスフェンさんがTDFに来るまでのお話をしましょう。
彼女と初めて引継ぎの際にお会いした時には、すぐ潰されてしまうのではと思ったほどです。
もしかすると私は早期にTDFに戻されるのではと気に病みました。本当に。




