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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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噂話 ~TDFの始まり

すいません。掲載順間違えました。

揚げ直しです。

  ~プロローグ


 ジプコは小さなベンチャー企業から始まり一代で銀河系でも情報通信産業部門で第七位にまで成長を遂げています。現在は惑星ティーマの首都バナスシティに本社を構え、銀河系全域に通信網を張り巡らせ、情報通信部門だけでなく様々な業種で事業を展開している大企業となりました。

 銀河宇宙歴(UC)三百五十九年一月一日に、そのジプコ本社内に独立した技術開発部門として新しく発足したTDFテクノロジー・ディバイス・ファキュリティとそこに所属したサラリーマン達のお話をいたしましょう。

 まずは設立までの最初の四人の出会いの物語からとなります。


 惑星ティーマではこの時期には珍しいほど麗らかな日差しが高層ビル最上階の社員食堂に差し込んでいる。

 社員食堂独特の喧騒の中、ランチの乗ったトレーを手に彼は社食全体を見回す。最上階にある社食はバナスシティのみならずティーマの大地を見回すことが出来、差し込める日差しが広い室内を暖かく感じさせていました。

 第三データ処理部棟の社員食堂に入ると彼はメインディッシュを注文しそれを受け取ると、少し歩いて目的の男を見つけた。その男は窓際のテーブルで食事をしていて銀縁のサイバー眼鏡をかけた藍色の髪の人物だった。

 彼は何気ない風を装いながら男に声を掛けた。

 気になる噂を確認するために。

「シンシマ、隣いいか?」

 名前を呼ばれたシンシマ・ケンマウが手にしたスプーンの手を止めて顔を上げると、ニコリと笑って同期の彼に頷いた。

「久しぶりだな、シンシマ」彼が言うと同じように言葉を返していた。

「お前、わざわざ第三棟までランチを食べに来たのか?」

 シンシマの同期の彼は半年前の異動で隣のビルにある第二データ処理部に移っている。移動にはさほど時間はかからないがその第二ビルにも社食はあるはずなのに、たとえ出入りが自由であったとしてもわざわざこちらの社員食堂に食べに来ているのだから驚きである。

「まあな。ここの社食がやっぱり一番飯がうまいと思うからな。時間に余裕があるときには来ているんだよ」

「それは分かる。第一や第二と他の社食では、ここのうまさは比べ物にならないからな」

「やっぱりそうだよな」しみじみ同期は頷いた。「毎日ここでランチが食べられることのありがたみなんて、異動してみないと分からないものだよなぁ」

「異動したとしても、俺はここで毎日ランチするよ」シンシマはニヤリと笑う。

 ビーフシチューをうまそうに頬張るとシンシマは同意している。

 同期の彼のみならず第三データ処理部棟の社食のファンは多く所属部員以外も多くここには来ているはずだ。しばらく趣味などの話をしながら、シンシマはシチューにパンを浸して食べていると、同期は少し身を寄せ小声で訊ねてきた。

「ところで今度大幅な配置転嫁と部署の統廃合の噂があるって小耳に挟んだんだけど、何か知っているか?」

 今回の目的であり聞きたかったことを彼は訊ねる。

「ああ、知ってるよ」シンシマはあっさりと答え微笑んだ。

「やっぱりあるのか、で、どうなんだよ?」

「端的に言えば、開発部第三課は消滅。開発部と通信技術部は統合される予定だよ。組織図が大幅に刷新される」

「そうか、そうなるか」同期は唸りながら麵をすする。スープが絶妙に麺に絡み美味しい。「まあ、開発部の部長が機密事項の技術を持ち逃げしてアマデウスにスカウトされたっていう話は聞いていたけれど、それはそれで厳しいな」

「開発した三課の課長は責任取る形で辞職したしな」

「あの人は関係ないはずなのに悲しいよな。キム課長、良い人だったのに」

 シンシマと同期の彼はそのキム課長から新人研修の時に講師を務めてもらっていたから人柄も知っている。年齢もまだ若く兄貴分のような人だった。

「あの部長とともにジプコを辞めて転職していった奴らもいたしな」

「そんな奴いたのかよ」彼は初めて聞く情報に唖然とする。「人望なんてないと思っていたのにな」

「子飼いがいたってことだろう。まあ業界中に情報は流れているだろうから、転職先で冷遇されるのが落ちだろうけどな」

 シンシマは鼻で笑う。

 その様子を見て同期はシンシマがどこまで情報を得ているのだろうかと思ってしまうほどだった。

「自業自得だな」

「まあやらかした部署に所属していたというだけでも他に行ったら肩身が狭い思いもするだけだろうから辞めた人が他にも何人かいるよ」

「あの胸糞悪い部長とは同系列に見られたくないのは分かるけれど、大変だよな。それに会社全体に迷惑かけるなって言いたくなる」

「会社の上層部もそれが分かっているんだろうな。通信技術部と開発部が統合されてもほとんどがスライドになるだろうから、他からの人員補充は無いはずだぞ」

「それを聞いて安心したよ。シンシマ」

「今の所属からは動きたくないか?」

「まあな、居心地は悪くないし、狙っている子もいるしな」

「やめとけやめとけ、お前さんのところの天使だろう。釣り合わねぇよ」

「分かっているけれど、そうはっきりと言われるとな」

 どこまで事情通なんだよと、言い当てられて同期は目を見張る。

「事実だ」

 すっぱりと言われて同期は苦虫をかみしめるように蓮華でスープをすする。

「ところで消滅する予定の三課の研究施設はどうなるんだ? 結構金をかけて設備投資して施設を作っていただろうし、放棄するわけはないと思うんだが何に使う気なんだ?」

「現在調査中」

「なら、なんか動きがあったら教えてくれよ。同期のグループチャットでもいいからさ」

「了解。まあいずれ分かるとは思うけれど、新部署の立ち上げもあるっていう噂だよ」

「新事業もありうるか」

「上はまだまだ会社を広げる気でいるからな。まあ少しの間様子見だわ」

 シンシマはランチを平らげるとまだ食べ終えていない同期を残して席を立つ。

 彼は休憩コーナーに行って珈琲を飲みながら人事部の知り合いを見つけると、言葉巧みに話し込むみ情報を仕入れていくのだった。




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