表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

【第2話】 回転の中身



郵便受けの隙間が、かすかに開いた。

そこから覗く、暗い室内の闇――そして、白い何か。

一瞬、それが人の眼球の白目に見えて、背筋が凍る。


「……すみません、あの、本当に困ってるんですけど……」


声はかすれ、喉の奥で引っかかった。

だが、返事はない。

代わりに、郵便受けがゆっくりと閉じられる音がした。

――パタン。


外廊下には、俺と洗濯機の音だけが残された。


ゴウン……ゴウン……ゴウン……

中で何かが重く、そして柔らかくぶつかっている。

服じゃない。タオルでもない。

もっと、形のはっきりした……人間の関節のような硬さと、肉の鈍い弾力。


嫌な想像が頭をよぎる。

いや、考えるな。考えたら、もう二度と近づけない。


俺は、仕事用の安物スニーカーで通路を踏み鳴らし、階段を降りた。

だが、一階まで降りても――

音は止まらなかった。


***


夜。

眠れずに天井を見つめていると、不意に音が変わった。

ゴウン、ゴウン……から、ガタッ、ガタッ、と荒くなり、急に静かになる。

――回転が止まった?


時計は午前三時。

やっと静かになった……そう思った瞬間、

コン、コン、コン――と、今度は壁越しに規則正しい叩き音が響きはじめた。


しかもそれは、まるで俺の部屋の中から聞こえてくるようで――。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
洗濯機からどんな展開へゆくのか想像がつきませんでしたがなんだかホラーな展開になりそう… 想像もしない展開で読んでいておもしろいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ