表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たたかう聖女さま  作者: 桜花オルガ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/115

第74話 魔法ポーチの件だけど

 クロードさんの娘であるエミリーちゃんが、他国の学園へと旅立って数日が経った。



 エミリーちゃん寮生活になるみたいだけど、ホームシックにならないか心配だね。



「え?私宛に大量の書簡ですか?」



 なんだろう……あれだけ強く念押ししておいたし、お見合いの類ではないと思うけど……



「うむ。貴族家が抱える、騎士団の指南役としての願いがチラホラだが……ほとんどが()()()()()()、剣術や魔法を教えて欲しいと……」


「貴族の息子……ですか。それって……」


「んむ……まぁ剣も魔法も建前……自分の息子と引き合わせるための、口実だろうね」



 そうきたか……確かにこの頼み方では、お見合いではないしなぁ……でも会わせてしまえば、どうとでもなると思っているのだろうか?ならないよ?


 とりあえずクロードさんが全部断ってくれるらしいけど、本当に迷惑をかけてしまい申し訳ないなぁ。


 リサさんの件もあって、私にすごく恩を感じてくれてるようだけど、だからと言ってこんなつまらない事の対応は、させたくないんだよねぇ。


 まぁ基礎化粧品の効果もあって、さらに綺麗になったリサさんに大はしゃぎだから良いか……こりゃ新たな命の誕生も近いかもしれないね。



 さ!今日はお仕事の話があるんだった!クロエちゃんにはお留守番してもらって、私はそろそろ出掛けないと!




      ───◇─◆─◇───




 オーレン冒険者ギルド、ギルドマスターの部屋にマリアとラナー、ギルドマスターのアイザックの三人が集合していた。



「今日は例の件の報告をしたいんだが……その前にマリアよ!お前のところのメイド!あの子の魔法はなんだ!?俺もそうだが、冒険者連中も知らないような魔法を、どうしてあんな幼いメイドが使える!?」



 ああ……クロエちゃん、『アクアライド』を使いながら買い物とかしてるって言ってたね……


「あれは私が創ったオリジナル魔法です。クロエちゃんが頑張って習得したんですよ」


「マリア様のオリジナル魔法!?さすが虹の聖女様!そしてクロエちゃんも素晴らしいですね!」


「おいおい……あんな高度な魔法を使うメイドなんてなぁ……いや、まぁ良い。例の魔法ポーチの件なんだが……全員賛成で採用となった!これからよろしく頼む!」



 おお!心配はしてなかったけど、無事に可決されて本当に良かった!教会側はすでに了承してくれているし、これで本格的に動き出せるね!



「ではさっそく冒険者達に、聖女商会から依頼を出しますね。依頼はワイバーンの討伐と回収。ワイバーンは通常種で問題ありません。背面と尻尾の皮をなるべく傷つけないように。それ以外の素材はギルドで買取りをお願いします」


「ワイバーンだな!ランクB冒険者以上で依頼をかけよう。数はどの程度いる?」


「数は多ければ多いほど良いので、しばらくは常駐依頼として下さい。報酬はアイザックさんが決めた額を、聖女商会からお支払いしますよ。ちなみにすでに製作済の魔法ポーチを持って来てるので、置いていきますね」



 マリアはその場で魔法ポーチを70個ほど納品し、ラナーは教皇様に開始の旨を記した書簡を送ると、大喜びで帰って行った。


 マリアも帰ろうと思ったのだが、久しぶりに会う面子に声を掛けられる。



「ひっ久しぶりだなマリア……さま」


「ん?様なんて付けなくて良いですよ?」



 久しぶりに会ったのは、冒険者パーティー『自由の翼』の面々であった。



「いや、だってよ……マリアが聖女様だなんて知らなかったしよ……」



 ジンがモジモジとしてる姿を見て他の三人、コルト、プレセア、マキナがくすくすと笑っている。



「では私もジンと呼ばせてもらいますので、ジンも私をマリアとお呼びください」


「お、おう」


「そういえばマリアちゃん、私達ランクDに昇格したの!もう少しで一人前の冒険者として認められるわ!」



 マキナが嬉しそうに報告してくる。


『自由の翼』の皆は、マリアがソウラリアの世界に来て、初めて出会った人達だ。お金の価値などを教えてもらった恩もある。



「それはおめでとう御座います!そうですね……皆さんがランクCになったら、何かお祝いの品を贈らせて下さい。だからそれまで死んだりしたら駄目ですよ」



 マリアは冗談めかしながら言ったが、生きる目的は一つでも多い方が良い。目的や目標があるだけで、何も無いよりも毎日の活力が雲泥の差だ。


 それに冒険者は、常に命の危険と隣り合わせの仕事。最後の最後まで生を諦めない事が、活路を開く鍵になる事もあるだろう。



 マリアは『自由の翼』の面々としばし談笑し、冒険者ギルドを後にした。




      ───◇─◆─◇───




「お店と他のお客さんが困らない量を、全て売って下さい」


「いつもすまないねぇ。聖女様がたくさん買ってくれる姿が宣伝になって、他のお客もたくさん来てくれて大繁盛だよ」



 私は自分に必要だと思う物を買ってるだけだけど、それが宣伝にもなってるなんてね。


 ……宣伝か……()()が出来れば面白いかもしれないなぁ……




 街の露天で爆買いしていたマリアは、新たな魔道具の構想を始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ